いつもと違う

(土曜日の昼間)

柊「今日はなんだか暑いですねー……って、いっ樹さん、暑い時の休日の服っていつもそんな感じですか……?」

樹「ん、そうだよ。……あ、そうか。去年はまだこうやって一緒に住んでなかったもんね」

柊「……Tシャツにステテコ……」

樹「んー、やっとこの季節がきたよねー♪♪ 色々着込むってほんと窮屈だ。それに、このスタイルなら経済的にも非常にスリムでエコだろ?」

柊「……たっ確かにそうかもしれませんが……

 樹さん、ほら大企業の副社長なんですし……もう少し普段の身だしなみも、こう……」

樹「(ちょっとむすっとする)ん、柊くんは気に入らないの? 休みの日くらいのびのびしたっていいじゃないか……

 わかったよ。じゃ着替えてくるから」

柊「だって、あれじゃさすがにもう完全にオヤジだし……ぶつぶつ」


(数分後、最高級なネイビーのリネンシャツと白のチノパンにビシッと着替えてくる)

樹「実家にいた頃はいつもこういうの着てたんだよね。あー暑苦しっ。柊くん、気に入った?」

柊「…………(あまりのキラキラ具合に圧倒される)は、はい……もう充分じゃないかと……」

樹「あ、そういやもうすぐ昼だね。テキトーに焼きそばでも作る?」

柊「あっ……えーー、それ俺やります」

樹「そう? じゃその間に僕はトイレ掃除でも……」

柊「あーーっ!! それも俺やりますっっ!!」

樹「ん……どうしたの柊くん?」 


柊「…………すみません、俺が間違ってました……やっぱTシャツとステテコに戻ってもらえますか……」


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