おねえちゃん

 いやー、可愛いんですよぅ!


 迎えに行ったら、保育園の先生、上機嫌。


 なにをしてきた……このボクは?顔を下駄箱に隠してるよ?


「男の先生のことをおじさんって言うから、じゃあ……私は?私は!?って他の女の先生達が聞き出したんですよ」


「えっ!?先生におじさんって言ったらだめよ!」


 ボク、スススッとやってきて、母の服に顔を隠した。


「待って!続きがあるんですーっ!」


 女の先生、ずっと上機嫌。


「なんと!女の先生達はみんな『おねえちゃん』だったんですよぅ!わかってるーっ!」


 おねえちゃんと言われて先生ら嬉しかったんだね…………先生、めっちゃ良い笑顔!


 ボクは世渡りうまいなぁ。恐ろしい……。


「きっと先生ら可愛いからですよ!男の先生は大好きなので気を引きたいのかも……フフッ(母、笑ってごまかした!)」


 後で説教だね。この子確信犯です。


 ボク……顔を隠しつづけている。


「大好きな男の先生におじさんって言わないのよ。でも女の先生に『おねえちゃん』はグッジョブだわ!」


 後から、説教らしからぬ話をする母。


 しかし、一つ気になることがある。


「じゃあ……ママは?(勇者すぎ)」


「ママはママだよ(即答)」


「お、おねえちゃんになれない?(往生際悪い)」


「うん(即答)」


 ……おねえちゃんにはなれなかった!!


 無理だってわかってた(涙)わかってたよおおお(涙)


 なんでそこだけ正直なの!?

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