そして選び抜かれた一品

「とりあえずどれを候補にしたのか言ってくれないか。メモでまとめるから」

 と言いスマホを取り出す大河君。言われた通りに考えに考え抜いた選抜メニューたちを言っていく。

その数は合計で6つ。多い方かもしれないけどこれでも考え抜いた方だ。

「なるほどなあ、6つか。よしここから1つに絞っていこう。

 結が食べられるなら2つとかそれ以上でもいいけど」

 だいたいこういうメニューになると基本的に一つだ。

どれも写真を見るとボリュームがそれなりにありそうだ。一つで充分足りるだろう。


「カルボナーラ、枝豆とシーチキンのクリームパスタ、ナポリタン

 野菜たっぷりパスタ、きのこ和風パスタ、ペペロンチーノか。

 最後だけあっさりでもこってりでもないような気がするな。

 いや、ナポリタンもそうでもないような気が」

「なんか見つけて挑戦してみたいなって思って……選んだの。ナポリタンはthe王道って感じがしたから」

「いちいち探すの面倒だから写真に撮っておくか」

 大河君はそれらのメニュー写真をさっさっと撮っていった。

手慣れている。自分だったらそんなスムーズに出来ないだろう。


「さてさてここからどうやって1つにしていくかだな」

 頭の中に絞りだしたメニューを言語化し並べてみる。

そして写真も同時に思い出す。どれも他のパスタにはない魅力があり迷ってしまう。

王道で行くか冒険をするか。値段なんてものは一切気にしていない。

ただどれが今の気分に合うのか、考えていることはそれだけ。


「枝豆とシーチキンのクリームパスタなんて変わってていいと思うけどなぁ」

確かに。それ以外のメニューは別に今日じゃなくても食べられそうなものばかりだ。

野菜たっぷりパスタはあまり見かけなさそうだけど、自分で作ってみようと思えば作れそうな気がする。

「じゃあ、それにしようかな。枝豆とシーチキンのクリームパスタ」


 お店に食券を出しに行ったと同時に大河君のラーメンは出来上がっていた。

ラーメンが二つということもあり自ら手伝いに行った。

これで一緒に選んでくれたお礼も出来たし大河君の役に立てて一石二鳥だ。


 そこで記憶は途切れた。まだそれ以降のことは何も思い出せていない。

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