第114話 庶民校の同級生
ライト 「あれってもしかして…」
リリア 「あっ!ルルだ~~!」
ルルと呼ぶ人物の側へ向かい2人は走り出すとネイリーとマレインも後を追うように走る。
リリアは嬉しさの余りに両腕を広げルルに勢いよく抱き着く。勢いよく抱き着かれたルルはバランスを崩しそうになるが何とか持ちこたえる。
ルル 「わっ!リリアったら~!」
リリア 「だって嬉しいんだもん~!」
2人は頬を赤く染め満面の笑みを浮かべる。
ライト 「そうか。ルルはダイヤスファ国出身だ~って話してたな!」
ルル 「うん。学校卒業してから、こんなに早く再開出来るとは予想外だったよ~。てか2人とも何でこの国に来たの———んっ!?」
ルルは話しているとライトとリリアの背後に立つ人物に見覚えがあり自然と目線が移り顔を交互に見つめる。
ルル 「どこかで見覚えのある顔のような…」
目を細めネイリーとマレインの顔を交互に見つめるルルの視線先にライトは気付くと指を差す。
ライト 「あぁ、こっちはネイリー!それと―――」
ポロッと名前を零すライトにリリアは慌てて口元を両手で覆い耳元に唇を近づける。
リリア 「ちょっとライト!マレインは身元を隠しているんだから名前は伏せないと!」
耳元で囁くリリアにライトはコクコクと頷く。
ライト 「あっ!そうだった!」
2人が静かな声で話しているとルルは震えた足で1歩、2歩後ずさりネイリーに対し指を差す。
ルル 「ネ、ネ、ネ、ネイリー…えぇぇえええ!!サファイアローメン国のオヒメサマ~~~!?」
大きな声を出すルルは差した指を震わせながら、あわあわとする。
リリア 「あ、あはははは!!ちょっと色々あって!旅してるんだ!」
ルル 「そ、そうなんだぁ…でもオヒメサマの隣に立つ人ってさ…」
大袈裟に笑い動揺するリリアに違和感を覚えたルルはネイリーの横に立つマレインの顔をじ~っと見つめる。
マレイン 「わ、私はマレーインと申します…」
庶民の服装でも丁寧な振舞いを見せるマレインにルルの中で疑問が生まれる。
ルル (あの人、どこかで見覚えのある顔なんだよね~。恰好は庶民っぽいのに振舞はしっかりしてるし…)
マレインの藍色の髪、整った顔立ち、細っそりとした体型をルルはジト目で順々に見つめていくと、ある人物像が浮かぶ。
ルル (んんん~~~っ!?この人っても、も、も、もしかして…王子様!?)
頭の中で浮かんだ人物像と一致している事に気付くとルルはリリアの腕を強引に掴み引っ張る。
リリア 「えっ!?ルル!?」
急に腕を強引に掴まれたリリアはルルの背中と口をポカンと開けたライトの間抜け面の顔を交互に見つめながら身を委ね歩く。
ライト達からある一定の距離まで離れるとルルは掴んでいたリリアの腕を離し振り返る。
ルル 「ちょっと、リリア!あれ、どうみたってエデイン王子でしょ!」
リリアは鳩が豆鉄砲を食ったように目を丸くし顔を傾ける。
リリア 「へ?エデイン…オウジ?」
ライト 「ルルーー!!こいつはマレイーンっていうんだ~!王子ではナイゾー!」
リリア達からほんの少し離れた位置でライトはマレインに指を差すとルルに対して棒読みで話す。
ルル 「ほら、もうライトの反応で如何にも嘘だって分かるよ。マレーインじゃなくてマレイーンとか名前言い間違えて矛盾してるし、おまけに王子じゃナイゾーって棒読みだし」
リリア 「……ふぇ?」
的外れなルルの発言にリリアは脳が混乱し気の抜けた声を出す。
ルル 「相変わらずライトは学校の時から嘘がつくのが下手くそだよね。エデイン王子とソックリな双子のマレイン王子って設定にすれば良かったのに———えっ?ちょっとまって…」
ルルはカッと目を見開くと、ライトの背後に立つマレインの顔を再び見つめる。
ルル (穏やかな表情…そして偉そうな態度を取らない…)
頭の中で浮かんでいるエデインのきりっとした顔立ちと比べ穏やかな表情、そして傲慢な態度では無く控え目な態度。
ルルは冷静に物事を一つ一つ整理していくと、大きな勘違いをしていた事にようやく気付く。
ルル 「もしかしてあれってマレイン王子!?」
ようやくルルとの会話が噛み合いリリアは動揺し目を泳がす。
リリア 「え、え~~~何のコトカナァ…?」
ルル 「はい!リリアも嘘ー!」
ルルに嘘を見抜かれたリリアは返す言葉が見つからず、はぁ〜と声を漏らす。
リリア 「ルルを誤魔化すのはやっぱり無理かぁ~…」
リリアは額に手を当て観念する。
ルル 「まぁ、でもライトとリリアが加担するって事は何だか訳アリっぽいね?」
リリア 「う、うん。話はマレインから直接聞いてみて」
2人は会話を終えるとライト達が立つ場所へと戻る。
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