第8話 8月11日

今日は部屋の照明を買いに行った。

本当は、そんな気などなかったのだが、何となく出かけたついでに寄った電気屋で、急に買う事を決めた。


今まで、蛍光灯が切れたり、スイッチを押しても中々点かなかった明かりだが、こうして買い替えるとなると、少し名残惜しい。


間違いなく、今までの照明は役目をまっとうした。

でもごめん、使い続けることはできなかった。


こうやって、物との別れはどんどん増えていく。

今は、多少は前の照明への思い入れもあるから、多少は悲しいが、三日もすれば今の便利さによってそれも忘れてしまう。


今までの照明は、私が今の部屋で生活するようになった時からずっとそこにあった。

ずっと私を見守ってくれていたのだ。


ありがとう。そして、さようなら。

君のことは忘れない・・・とは言えない自分が悔しいが、それでも、本当にありがとう。

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