第320話 次の街まで

不明という結果が私の『解析鑑定』から出てきた。どうしてそうなる!?


「ステータス不明ってどういうことなんだろう?」


「レベルも不明なのー?」


 ひどいことこの上ないが、確実にユーリの250000を超えている気がしない。おそらく100000は差が開いているかも?


「でも、基準はわかってきたね」


 私のステータスはいまだにわからないが、この二人について行ってるのだから、私も万は超えているはずだ。


 ということで、解析鑑定を使えば強敵かどうかがわかる。わたしたちより少し強い程度だったら戦うが、悪魔の少女のように格差が開いているようであったら、速攻逃げる。


「そういえば、武器のレベルも鑑定できるのかな?」


「ご主人様の新しい武器を鑑定してみよう!」


 私は異納庫を開いて、大剣を取り出した。もはやランスと呼べるそれはどれくらい強い武器なのだろうか?


 ーーーーーーーーーー

 武器名:なし

 種類:大剣・盾

 ランク:S


 攻撃力:50000

 耐久力:50000


 スキル:『視界共有』『武器変形』『魔力伝導』『電撃』


 付与:鱗粉毒

 ーーーーーーーーーー


「おお!強いじゃん!」


 攻撃力耐久力共に、かなりの高水準だと思われる。さらに、武器にもスキルがあったらしく、その内容は事前に聞かされていた通りの内容だった。


「こんな凄い武器見たの、久しぶりだよ!」


 と、ユーリ。なんとかなりの年月を生きているユーリからのお墨付きである。そんなこと言われたら使ってみたくなっちゃうじゃないか!


 しょうがない、自分の今の実力を完全に把握できてないのはこれからの任務に支障をきたしかねないので、冒険者として適当な任務でも受けてこよう。でも、Aランクの魔物で相手になるだろうか?


「よし、この武器の試し切りもしたいし、次の街まで急ぐわよ!」


「え、まさか人を……」


「違うからね!?」



 ♦️



 王国を出てすぐ辺りに、違う国の街がある。アナトレス公爵領と直接接しているわけではないが、どちらも国の辺境に位置している。


 そこの街には割と人がいた。辺境の街であるため、人はそんなにいないと思っていたが、なんでだ?


 そう思っていたが、どうやらそれはそこはかなりでかい冒険者支部と教会があったのが見えて納得する。


 王国は決まった国教はないが、この国には国教があるようだ。まあ、宗教には興味ないから、ひとまず討伐依頼を一つこなして、武器の性能を確かめよう。


 50000という高スペック攻撃力から放たれる一撃はどんなものだろうか?


 楽しみで笑みが漏れてきちゃう!


「ベアトリス?怖いよ?」


「……早く入りましょう」


 レオ君にみられていたが、私は気にせず話題を変える。


 国境を一応跨いできたので、冒険者証を見せて衛士に通行の許可を求める。すると、その衛士は驚いたように、冒険者証を何度も見直していた。


「Aランク?この年で?」


「はい、そうですが」


「嘘はダメですよ?」


「嘘なんてついていません」


 私がそういうと、衛士は半透明の水晶を持ってきた。


「君はAランク冒険者?」


「そうですって」


 私がそういうと、衛士は水晶に目をやり、また驚いた。


「本当なのか……どうぞお通りください」


「あ、この二人の通行証は……」


「Aランク冒険者様なんですよね?Aランク冒険者様の同行者は身分を保障されています。ただ、問題行動を起こしたときはAランク冒険者様本人にいきますので、お気を付けきださい」


 そう言われ、中に入った。


「うん、まあ普通の街だね」


 城塞都市なんかでもない、ごくごく普通の街。その街ではいろいろな人で入り乱れていた。


 特に冒険者は多く、初心者冒険者といった見た目をした人たちがたくさんいる。


「この際だから二人とも冒険者になる?」


「僕たちも?」


「そっちの方が楽しそうじゃん!」


「ベアトリスがそういうなら……」


 レオ君の了承は得られた。ユーリの方を見れば目を輝かせていたので、聞く必要すらないだろう。


 あとで、一緒に冒険者登録に向かうとしよう。


「でも、この格好じゃ普通に色々怪しいね」


「「?」」


 二人とも気づいていないが、私たちの服装はここら辺の中では異質なのだ。


 まず私、小綺麗なフリフリのワンピースを着ている。もっと庶民らしく、もっと冒険者らしい服を買わなければ……。


 レオ君、おしゃれなバンダナをつけてるのは可愛いが、着ている服はレオ君手作りのお手製ものらしい。よって、縫い目が若干見えているので、これまた変だ。可愛いけど。


 ユーリ、これから向かう東の島国の『陰陽師』が来ていそうな服を着ている。『着物』とは少し違うと思うが、白と赤に彩られたその服はやっぱり派手だ。


「よって、私たちは新たな服を買いに行く必要がある!」


「お金はあるの?」


「実は!教師として働いていたお金、まだ1銅貨も使っていません!」


 衣食住が保障されていた場所で過ごしていたので、家賃なんてものはない。よって、給料は手元に残っていた。


 一ヶ月働いてもらえたお金は金貨30枚ほど。ちなみに、これは私だけの分で、二人の給料は金貨20枚だった。


 三人合計で70枚。破格のお値段である。ただの教師にしては高給取りすぎる!


「よっしゃ!服買いに行くよー!」


「「おおー!」」

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