私の功績
私の人生における功績は大きく2つある。
ひとつは両親と祖父母たちに喜びを与えたことだ。
今となっては厄介者となってしまった私も、大学を中退するまではまとも(世間に従順)だった。
つまり20年近くもの間、両親に子を生み育てる喜びを与えたのだ。
祖父母には孫がいる喜びを与えた。
「育ててもらっておいて何を言う?」
という声もあるかもしれない。
前にも言ったが、私は好きで生まれてきたわけではない。
親の自尊心と世間体と性欲を満たすために生まれてきたのだ。
それなのに感謝しろというのは、いささか横暴ではないか?
少なくとも私の両親は「育ててやったんだから感謝しろ」などと恩着せがましいことは一度も言ったことがないので、それについては理解していると思う。
もうひとつの功績は子孫を残さなかったことだ。
世間一般の基準で言えば、子を生み育てる方が功績なのだろうが、私はそうは思わない。
子を生むという行為は一種のギャンブルだ。
どんな子が生まれてくるかは分からないし、幸せになれるかどうかも分からない。
私はギャンブルをしなかった。
性欲に負けず、孤独に耐え、ギャンブルをしないことを選んだ。
おかげで、私の子孫は不幸にはならない。
私の子孫は死なない。
「それのどこが功績だ?」
「ただの負け惜しみだろうが」
そういう声もあるだろう。
では、ギャンブルをする方が正しいのか?
ギャンブルをする人間が偉いのか?
それも分からない。
分からないから、私だけは私を褒めてやりたい。
私は私なりにがんばったのだから。
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