第4話:部活動見学3
高校生活が始まって3日目、本日も午前中は時間割どおりに授業がこなし時間が流れていく。まだ中学の復習の時期であるからかほとんどの生徒の顔には余裕がある。新鮮だからか、校舎内をうろついている生徒も多い。咲子と律子として昼食を学食で食べているが、メニューは豊富といえ、時間帯による人込みに巻き込まれてもいる。本日は部活動見学に割り当てられた日程の最終日である。咲子と律子は同好会を見て回り、すこし余裕をもって感想会を開くことにしていた。ランチを食べながら二人は話す。中学もそうであったが、二人として一緒に過ごす事はおおい。別に他に友達がいないわけではないが。
咲子「今日で見学会の日程は最後だよね、同好会当たり視て回ろうね。後半は感想かな」
律子「なるだけなら、どこかに所属、かぁ、どうしよ。どちらかというと文科系かな、あまり厳しくないのがいい」
咲子「なるだけなら、楽しく過ごしたいな、あまりせわしないのはちょっと・・昨日最後に寄ったとこ、流行を追ったりするんだって」
律子「流行を追うの?」
咲子「なんだっけ、流行を追ったり、日常に必用な基礎知識勉強したり、ああ、あと非日常の研究もしてるんだって」
律子「非日常ってなんだろね」
咲子「中の良い子、作ってみんなで旅行とかにもいってみたいね」
律子「受験とか、まだだしね、余裕余裕、でもあっという間に進級しちゃうかも」
二人として昼のランチをゆっくりと食べている。すでに午前中の授業は終えているから、あとは午後の見学会を見て回るだけだ。すでに上級生たちは説明の準備をしているだろう。お昼の休憩時間の終了と共に始まる予定だった。
律子「同好会、どこから回る?」
咲子「囲碁はパス、やっぱ「料理研究会」と「日常研究会」あ、あとデザイン研究会てのもあるよ」
律子「じゃあ、その3つは回ろうか。」
咲子「どこに入るにしても考えたいよね、他の子の意見も聞いてみたいけど。」
律子「あたしは、休み時間ときには聞いているなぁ。体育部に入るか考えている子もおおいよ、あたしらみたいのもいるし」
咲子「同好会って部への昇格とか条件あるんだっけ?」
律子「人数じゃなかった?あと活動成果かなぁ」
近くの席でも、グループで食事をしている男子生徒がどの部に入るか話をしている。いかにも文化部志望といった生徒たちだ。
男子生徒A「アニメ部かなぁ。やっぱり、見てないものたくさんあるんだよなぁ」
男子生徒B「一部部費で購入できるけど、部員の購入したもの、持ち込んでんだろ。」
男子生徒A「成果とか発表すんだろうけど、小遣いだけじゃたりねーわ、コミケとかも皆で行ったりするらしいし」
男子生徒C「今日はどうすんの?同好会とかあるけど」
男子生徒B「デザイン研究会ってなにすんだろ。」
男子生徒D「部じゃないんだろ、何すんだろデザイン研究って、なんかやばい二年が立ち上げたらしいけど」
男子生徒B「やばいってどんな人よ」
男子生徒D「ほら、入学式に在学生代表で話した人、やばいらしい」
男子生徒A「やばいてなによ」
男子生徒D「天才らしい、なんかそんな話聞いた」
咲子にはその言葉は耳に入っていた。
咲子(天才?デザイン研究て天才ってなんらじゃほい。ああ、入学式に挨拶した人かぁ、石坂君知り合いなんだっけ?兄弟?)
咲子「ね、デザインもよってみようね」
律子「いいけど。天才ってなんだろ、変な人じゃないといいけど」
午後の見学会の時間が始まる放送が鳴った。
放送「本日の部活動見学会の開始です。本日で3日目です、この機会に先輩達から活動内容を聞き、自分に合った部活動に所属するか決めてください。本日以降も活動内容を確かめるのは自由です。自主性にのっとり失礼のないようにしてください。」
咲子「あ、始まったね、じゃいこっか・・」
律子「うん、じゃあ、まずは料理研究会だね」
二人として文科系の教室が入っている棟へ向かった。「料理研究会」の説明を行っている。料理室がある。咲子達はどちらかというと早く到着したようで、料理室の扉を開けると女子の上級生たちに暖かく迎えられた。
説明のために、一定数の見学者を集めるとのことで少し待つ。しばらくして咲子達をふくめて6名の見学希望者があつまり調理台を囲って座る。上級生からの説明が始まった。
上級生「私たち「料理研究会」は見てとおり4名で活動を行っています。二年生が3名、三年生が1名です。活動としては週に3回、この料理室で集まってチャレンジしたい料理を作って、みんなで食べて感想を言い合ったりしています。最初は料理の苦手な人もいますけど、包丁の使い方から教える事もできますので、ぜひとも入部を検討してください、それじゃ実演としてカルメ焼きをつくりますので食べていってください」
別の生徒が質問をする
生徒A「部室はこの部屋なんですか?」
上級生「いいえ、ちゃんとあてがわれた部室がありますよ、そんなに広くないですけど荷物を置いたり、食材を保管するための冷蔵庫もあります、持ち込んだ調理器具とかも置いてありますよ」
その後、調理台のガスコンロに着火をしカルメ焼きの実演に入った。金属製のおたまに、砂糖、水、重曹などを材料としてカルメ焼きを作られる。人数分作ったところで試食タイムとなった。
咲子「熱い、カルメ焼きなんて久しぶり」
律子「小学のお祭り以来?あついけどうまいね」
他の生徒も口の中でカルメ焼きをホクホクほおばりながら食べている。皆熱そうにしている。
上級生「活動としては、説明したとおりかな。都合がわるかったら休んでもいいですよ。みんなで和気あいあいと料理を
作りたいかな。わからないことが有ったら聞いてね」
料理研究会の説明は以上として終わり、見学者のグループは解散となった。次の見学者の待機として人数を数えている。定員の六名には間に合いそうであった。
咲子と律子として、料理室に出てから、お互い感想を言いあい次の見学としてデザイン研究会に向かう。用紙によると部室と活動場所は同じくのようであった。部室の前に着くと扉は開かれ、脇の壁に「デザイン研究室」と張り紙がある。二人として慎重にのぞき込むと、複数人の部員らしき生徒がいる。その内一人は入学式の際に代表の挨拶をした生徒だ。
咲子「あの~やってますか」
律子は咲子の陰に隠れる形でおそるおそる問いかける。
生徒「ああ、見学希望者かな、いいよ入ってください」
昨日律子が資料をもらいにきたはずであり、中に入ってるはずだが、何も言っていない。部室のは比較的広い、部室の壁際に机が並べれており、どうやら作業台のようだ。中央にはテーブルが設置されており、上には雑多なものが置かれている。二人として他の生徒に促される形でパイプ椅子に座る。
入学式で挨拶をした生徒が口を開く。
生徒「デザイン研究室にようこそ、私は研究室の部長の石坂浩二です、二年です、よろしく、本日は私たちの活動内容の説明をしますから、よく考えて検討してください」
浩二「ええと、我が部では、いわゆるデザインの研究として実際にデザインをしたり、それに基づき作品を作っています。昨年は私と他の二名だけでしたので、ぜひとも活動に参加してくださるとうれしいです」
浩二「テーブルの上にあるのが、デザインした作品です、手に取って触っていいですよ」
テーブルの上には用途不明に思えるものが多数置いてある。咲子は興味津々とった感じで、ダンゴムシのような物体を取った。
咲子「これはなんですか、ダンゴムシ」
石坂浩二「それは、ガリアンクロウだね、使ってみる?」
咲子(ガリアンクロウ?・・・なにそれ?)
律子(ガリアンって古いアニメ作品じゃなかったっけ?ガリアンソードなら知ってるけど。)
石坂浩二に促されるように、手首に装着する。手の甲の上にダンゴムシの鋭角の部分がきて、装着される。
咲子「この後どうするんですか?」
石坂浩二「手首の横の突起、押してみて、それから指を伸ばしてみる」
云われたとおりにすると、まず手首の横の位置にある突起を押すと効果音が鳴った。
咲子(お?なにこれ、おもちゃ?)
それから指を伸ばしと鋭角を持ったダンゴムシが指さきの方へ伸びる。結構な速度だ。2メートルは伸びたろうか。
石坂浩二「見学用に、セーフ働かせているからに、指を曲げたり、手首をまげたり、人に当てないようにして動かしてみて。一応自衛用」
咲子(お、お!なにこれ面白い)
咲子がガリアンクロウを伸ばして、遊び始める。指を曲げると伸びたクロウも曲がる、手首を右にするとカーブを描いて右に曲がり、親指を除いた4本の指を曲げると伸縮しもとに戻る。
石坂浩二「昔、ガリアンってアニメがあったでしょう。使ってた装備の蛇腹剣、ようはあれ、君はそれ触ってみる?真ん中のボタン押してみて」
律子がハート形の金属に目を見ているのを浩二が気づいて言った。
律子がハート形の金属を持ち、中心のハート形のボタンを一度押すとハート形の金属が変形する、ハートの丸みが開き、言われるがまま押していくと、3回で変形展開し形になった。
石坂浩二「ライターだよ、それ見ただけじゃわからないでしょ」
律子の手元でハート形が変形してライターになり火がついている。咲子はさきほどから、ガリアンクロウを人に向けないように伸ばしたり曲げたりしている。
石坂浩二「我が部では、ま、僕がほとんどなんだけど。工業デザインを含めたデザイン全般の設計をして実際に制作をする活動をする。デザインにはPC使ってもいいし、手書きでもいいよ。わからないことは僕が教えるからね。」
律子「衣服のデザインじゃないんですよねえ」
石坂浩二「別にいいよ、裁縫とか必要になるけどね、デザイン全般の勉強、実施、それが部の活動かな」
咲子「他にもはどんなのがあるんですか?」
石坂浩二「色々あるよ、同級生の福山君がつくったアタッチメント変えてみて。」
福山「これかな、苦労の先端はこうすれば簡単に外れるんだ。今、つけているのはノーマルアタッチメント」
福山と呼ばれた生徒が咲子の突けているクロウの先端の裏側に触れて外す。手順を踏めば鋭角の部分が外れるようである。そして、ベつのアタッチメントに付け替える。
福山「これは、どうかな」
咲子がクロウを伸ばすと伸びきった瞬間に破裂音がする。その音に驚く咲子と律子。
福山「サウンドアタッチメントだよ。これはその中でも破裂音のするやつ、まあ防犯用?」
咲子「すごいですねー、一からつくったんですかぁ!」
石坂浩二「一応ね、手首につけているのは僕がつくったよサウンドアタッチメントは福山君が、ハートのライターは佳村君がつくった」
律子「どこでならったんですが、これ」
石坂浩二「僕の嗜好は工業デザインと制作だけどね、教えるよ、僕が教える」
咲子「おお!!天才!!なるほどね~」
石坂浩二「何が?」
咲子「え?いいえ、天才だなぁって」
福山「ああ、一部からそう言われていることだよ。僕もそう思うかな。昨年までは自分がこんなことしているとは。」
佳村「ぼくも、姉貴にいわれてハート型にしたけど変形展開式ライターを作ることになるとは」
浩二「まあ、いいけど。僕の本領はこんなんじゃないけいどね」
咲子(おお、なんかすごいことしてる感じがするけど。どうやって作るんだろこれ)
その後、咲子と律子としてガリアンクロウで遊んだり。設置されているパソコンを見せてもらったりして時間を過ごす。30分ぐらいはいたろうか。
律子「ねえ、そろそろ」
石坂浩二「今日はどうもありがとう、参加する人材は随時募集している見学ならいつでもどうぞ」
二人としてお礼を言って部室から出る、不思議なものがたくさんあり、思いのほか面白かった。人の流動がすくないのか他の生徒の姿はまばらだ。
咲子「なんか、変だったね。じゃあ次行こうか。」
律子「ハートのライター欲しい。日常研究会ね。じゃあ行こうか」
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