第34話  真実の嘘



思わぬところで時間をかけてしまった。


薄暗くなってきたし、早く帰らないと門限過ぎちゃう。


「 ねえ 」


!?…突然後ろから男性に声をかけられた。


「 オレ達と楽しいことしましょうよ 」


ナンパ?


こーゆーの美羽といた時前にもあったけど、普通に慌てずに対応すれば大丈夫。


それに半分あそびでしょ…


「 ごめんなさい、急ぐので… 」


別の男が私の顎を指で持ち上げ、私の耳に唇をつけながら言った。


「 ふ~ん…かわいい顔してるじゃん~ちょっとだけつきあってよ… 」


「 へぇ、痩せているのに胸はデカいじゃん 」


「 いいんじゃね? 」


男性ふたりは私の手を握ろうとした。


「 嫌ッ!… 」


しつこく絡んでくる男2人に抵抗していた時だった。


「 ゆずきちゃん! どうしたの? 」


大野!……


…またしても彼が現れてくれた。


「「 くそ! 」」


2人組の男は、逃げるようにいってしまった。


「 ゆずきちゃん… 大丈夫? 」


「 だ…大丈夫なんかじゃない!… 」


足は靴の中キモイうえにガクガクしてるし、胸も恐怖でバクバクしてるし…


本当に怖かった。


「 遅い!くるのが遅い!大野なんか大っ嫌い!…うわあ~~ん… 」


泣きながら大野涼太の胸にしがみついた。


彼の胸に抱かれたのはこれで2回目だ。


最初の1回目の時は痴漢されて抱きしめられて、今度は私のほうから抱きしめている…


大嫌いなはずなのに…


「 これで、家まで送る理由ができたね 」


私は彼の胸の中で小さく頷いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る