第11話



大野涼太おおのりょうたに見られていた?


私が? 何かの間違いだろう。


「 あれ? いない… 」


美羽は立ち上がると、窓にへばりつき彼を探している。


「 彼なら教室へ行っちゃったよ 」


「 あー!も〜! 隠れるんじゃなかった…ねぇ!こっち見てたよね?…」


「 うん…たぶん… 」


「 やっぱり…あたし?…なわけないか…でも元気になって良かった!これも大野くんのおかげだね! 」


それはないと思う…けど私の為に…


「 美羽…ありがとう… 」


「 ううん あっ!先生! 」


『 ほらほら! 廊下で騒いでちゃダメでしょ!早く教室へ入りなさい! 』



3時間目になっても…


『 …はい次のページへ進みます、今度は三角関数の公式を… 』


ノートには一応写しているけれど、まったく集中出来ない


微かに覚えていることは


透き通った感じの声…


身長は高そうだった…


彼のホッペを叩いた時、背伸びしてもやっとだったし…


ただ、この学校の生徒であるということは確実…


勉強も手につかないし…


部活もできないし…


すべてあいつのせい


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