転生するのなら欲望を!!〜男の娘になって周りの性癖を無自覚破壊〜
四葉のアミア
序章 転生した男の娘
転生するのなら欲望を
「…神作品ー」
僕こと上島翔也は休みの日に家の中でスマホを眺めながらそう呟いた。
スマホ画面に映っているのは漫画サイト。ジャンルとしては簡単に言うと男の娘と言うやつだ。
無料公開分を読んで「神か?」と思って残りの分を全て購入し、先程読み終わった。
「男の娘ー、いいな」
今の僕の顔はどちらかというと普通。周りからはカッコいいと良く言われているが、つい半年ほど前から男の娘系作品を見つけて沼にハマった。そのせいか、最近自分の性別が女性なのではないのか?と思うほどである。
なんで可愛く生まれてこなかったんだろう…と日々思ってる。はぁ…
いや、仮に可愛く生まれても二次元の存在を真似する三次元の存在。これ以上は何も考えないでおこう。
「…あ、そうだった」
新しいイヤホンを買いに行くんだった。危ない危ない、神作品に心を奪われて忘れるところだった。
僕は会社員だけど今日は休みだからねー。こんな時にしか買いに行けない。
「よいしょっと」
立ち上がって小さな鞄に財布とスマホを入れ外出した。
◆
賑やかな街を歩いていると、それは聞こえてきた。
ギギギィィ……
「ん?…あぁ、確か工事してたんだね」
見上げると絶賛大型クレーンが鉄骨を運んでいた。このビルは確か経年劣化による改修工事を行なっているはず。
今は、資材を運んでいるのかな?人の声とクレーンが動く音以外大きな音は聞こえない。
「確かに古かったからね」
特に気にせず歩こうとしたら異質な音が鮮明に聞こえた。
ィィ……ぷち、ぷちっ、ッバキン!!!!!
その音が聞こえ、咄嗟に上を向く。
「ぁ…」
僕に降り注ぐ数十の鉄骨。
体が動かない、恐怖なのか、なんなのか…走馬灯すら流れることはなく、僕は死ぬんだと思い目を瞑った。
【以前より監視・転生・保護対象にあった人物の予定にない死を確認。緊急措置のため一時的に時を停止】
【辻褄合わせ、完了しました。
鉄骨による圧殺に見せかけ対象名:上島翔也を殺害。殺害後、順調に進めるために思考回路を一部改竄、箱庭へと招待、通常通り転生処置を発動】
----○--□□□
暗い。
ここは?
手足の感覚が無い。宙を浮いているようで、地面に立っているようだ。
怖い。
何も見えず、自分という存在が上手く把握出来ていないこの場所がとてつもなく怖い。
“目覚めなさい“
声…?
"なんらかの手違いで予定よりも早く死んでしまった哀れな人間よ、目覚めなさい"
…声なんだろうけど、なんかムカついてくるな。というか、目覚めなさいって言われてもどうやって目覚めたらいいんだよ…
そんな事を考えていたら目の前に光が現れた。僕はなんとなくそれを掴むように手を伸ばした。
手を動かしている感覚がないのに、そもそも触覚すらあやふやな状態なのに光を掴んだ感覚はあった。すると、眩しいくらいに光が溢れ僕の視界を埋め尽くした。
◆
「…う、ここは?」
白い空…感覚がある。ここは何処なのか?混乱していると声をかけられた。
「目覚めましたか?」
「あなたは?」
声をかけられた方向を見ると…一人の女性が居た。いや、女性というよりは天使か?何やら翼が生えているようだし…めっちゃ美人だし。
「私ですか?私は転生を司る神ザレウスです」
神…ギリシャ神話とかに出てくる有名なあれか。
「そうですか。…で、その神様が僕に何の用事で」
「…思考回路を改竄したのはいいんですが、敬意というものを追加しとけばよかったですかね?」
思考回路を改竄?恐ろしい単語が聞こえてきたが…違和感とかは一切ないしな。
「コホン、簡単に言うと貴方は向こうで死にました」
「…やっぱりですか?」
「おや、あまり驚かないのですね。普通なら自分の死というのは認めたくない人が多いんですが」
「いやいや、あんな鉄骨が降ってきて生きてるなんて思ってませんよ(笑)」
「…馬鹿にしてます?」
「ご冗談を」
自意識過剰なお方ですね。…これ、心読まれていたら終わりだな。
「……読んでますけど、まぁいいです。で、元々貴方は転生対象にありました」
「転生ですか?輪廻転生とか…いや、輪廻転生は生物なら誰でも行われてるやつだし、また別のやつか」
「その通りです。別世界への転生です」
「別世界…ラノベで言うと異世界転生ってやつですか?」
「そうですね。貴方はその対象に選ばれたって訳です。まぁ、選ばれた要因は沢山あるんですが話せないですね」
ふーん。…まっ、転生出来るのならしといた方がお得なんじゃないかな?それに、そもそも拒否権あるかどうか知らないし…
「分かりました。転生というと、元々持ってる記憶や人格を保持したり、望んだ力を持ったまま転生するんですか?」
「そうしますか?」
「いいんですか!?」
思わず聞き返してしまう。だって、望んだものを全て得られるのならなんだって可能なんじゃないか?それこそ、チートやらハーレムやら…いや、ハーレムは名前だけなら良いんだが実際肩身が狭くなるというデメリットがあるからな。
「何を考えているんですかあなたは……望んだ全てを貴方に与えることは可能です。しかし、その分不幸が舞い降りますよ」
「不幸、ですか」
急に不穏だな…
「えぇ。例えばどんな奴にも勝てる最強の力を手に入れました。しかし、周りからは恐れられ人が近寄ってこなくなり挙句の果てに全人類から追われてしまいます。助けてくれるのは悪の人間だけ。しかも、使うだけ使われたら処分される。そんな不幸が舞い降ります」
「つまり、強大な力を得たらそれ相応の不幸がやってくると」
「はい」
なんと…いや、当たり前か。しかし、そうなるとどうしたものか…チートはダメなんだろ?何処までが大丈夫なのかが分からない。
そう思っていたらザレウス神が口を開いた。
「貴方の何かを消去すれば、その分強力な力は手に入れられますよ」
「何か、とは?」
「例えば記憶。今貴方が持ってる記憶全てを消すのなら、その分強力な力は手に入れられますよ。他にも、人格や肉体、心など…なんでも消去すれば」
「生贄…捧げ物みたいなものですか」
「はい」
「…よし、ならば僕のお願いを聞いてもらえますか?」
「えぇ、いいでしょう。あぁ、言い忘れてました」
「はい?」
「貴方は今回、予定外の死を遂げた、遂げさせてしまったのでその分のサービスは行いますよ」
「おぉ!女神様太っ腹」
「神ですからね」
少々嬉しそうにしている。…ちょ、コホン…なんでもない。
「ちょろい、ですか?」
「なんで分か…あ」
「…サービスの件は無しということで」
「待ってください!?なんでもしますから、靴でも舐めましょうか?」
「やめてください。冗談ですよ」
「…ふぅ」
「では、願いはなんですか?」
「僕自身の性格とそれに関する記憶と自分が男だった記憶、人格を消去してください」
「他の記憶とかはいいんですか?」
「はい。それで、生まれ変わる体を男、そして物凄く可愛くしてください。そして人格を優しくして、時に怖くしてください。あと、性格は穏やかでお願いします」
「はい…はい?かわ、可愛くですか?」
「はい」
「かっこよくではなく」
「はい、可愛く」
「…理由を伺っても?」
「どうせ転生するのなら欲望を、と思いまして…男の娘という感じになりたいのです」
「…まぁ、そこは個人の自由なので私からはなにも言いません」
「あと、無駄毛は生えてこないように。身長も140センチくらいでお願いします。これで容姿のお願いは終わりです」
「…分かりました」
若干やばいやつを見る目をしてるのは気のせいだろう。しかし、これで僕もっ!ふふふ。
「あとどれくらい願っても大丈夫ですか?」
「容姿の容貌はあまり容量は使いませんから、まだ大丈夫ですよ。人格や記憶の消去はかなりの容量を確保できますから」
突然、容量だの言い出して混乱しかけたが…あれだ、ストレージみたいなものだと思ったらいいのか。
「じゃあまだ大丈夫ということですか?」
「はい」
「なら次は力ですね」
「スキルですね。このスキル一覧から欲しいものを選択して下さい。全部取ることは出来ますが、無事に生まれることすら出来なくなりますね」
怖っ!?
「ご自由に選んでくださいね。その間、私は男の娘とやらを勉強しますので」
「分かりました」
是非、沼にハマってください。
そんな事を思いながら目の前に表示されているスキル一覧を眺めていく。どんなスキルを手に入れよっかなー、やっぱまずはアレだよね。
大量にあるスキルをワクワクしながら欲しいものを選んでいく。
「…なるほど、これが男の娘でしたか。中々良いものですね……さて、他の作品も見てみましょう」
「…女神様、スキル決め終わりました」
「もう少し見たかったんですが…分かりました。このスキルでいいんですか?」
「はい」
新しく表示された僕が選んだスキル達を見て肯定する。
獲得スキル▽
・冷血
・残虐
・無情
・美容
・不動
・大鎌(聖級)
・筋力増加
・俊敏増加
・防御増加
・状態異常耐性
・成長促進
…うん、いいね!
男の娘容姿になる予定の僕が、大鎌を持つ。…ふふふ。
「…ギリギリですね。幸運でもなく不幸でもなく、普通の人間として人生を送れそうですよ」
「そのつもりですから」
「まぁ、幸運に関してはその人の行いによって変わりますからなんとも言えませんがね。…ふむ、では、私からはサービスを送りましょう」
女神様がくるっと指を回して僕のおでこにトンッとしてきた。
「っっっ!!」
その瞬間、全身を電流が貫いたようなビリビリッとした感じが来た。
「貴方にユニークスキルを与えました。こればかりは自由に選ばさせるわけには行きませんからね、私が貴方を認めた証拠ですよ」
獲得ユニークスキル▽
・死神
「これ、は?」
「貴方の世界で有名な死神ですよ。本来の意味ではなく世間一般的に知られている恐怖や死の象徴としての死神の意味合いです」
「なるほど?」
「成長すると同時に頑張って扱えるようになるといいですよ。新しい人生は貴方の自由ですから。何をするのも自由ですよ」
「分かりました」
「あと、時々神殿なので私に祈りなさい」
「え」
「貴方の男の娘として成長した姿を見せてください。あと、私との会話などの記憶は喋れないようにしてあげます」
「はい」
「では、そろそろ転生を開始しましょうか」
「分かりました」
最後肯定文しか喋ってないな、と思いながら女神様を見ていると、女神様は手を横に振るった。すると、僕の体が光に包まれた。
転生が始まったのか。
…さようならかな?
人格や性格、一部の記憶が無くなるからね……もう、今の僕には戻れない。僕であって僕じゃない誰かになるから、さようならだね。
微かな悲しい感情とワクワクした感情という矛盾を抱えたまま、僕は女神様の力によって転生をした。
ーーー
後書きです
この作品は「なろう様」の方でも投稿されています。
そして、この作品は出来上がったら投稿していくので不定期投稿になります。さらに、深夜テンションで1話を書いたので大分イカれており、思いついてパッ!と書いたので大まかなプロットもキャラ設定も出来てないので大変ですが頑張ります。
一応出来上がってる分は毎日という形で投稿をします。それ以降は出来上がったら、という感じで
質問箱という名の小説を新たに投稿しましたので質問等はどうぞ。【別にこっちの作品のコメント欄でも大丈夫】
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