第7話 人替え
夕食が終わり立ち上がろうとした時、「アリエ様、助けて下さい」と食器を片付けに来た村娘に声を掛けられた。
振り返ると八等身の醜女な村娘が跪いていた。大きな青い瞳で見つめていた。
(可哀そうに醜く産まれて、それに顔も小さく、禿げ散らかしていないし金髪の長い髪をしている。私はこれまでこれほどの醜女は城内では見た事がありません)
「アリエ様はこれから踊りの準備があるから帰りなさい」とハモンドは追い払おうとした。
村娘が涙をボロボロと流し声を出して泣いた。
それを見て可哀そうに思ったアリエ姫は「如何したのですか?」と声を掛けた。
「アリエ様、もう踊りまで時間がありませんので」とハモンドが釘をさした。
「今日は踊りません」
「どうしてですか?」
「庶民の話を聞くのが領主だと思っています。その娘の話を聞きます。ハモンドには今日は私が疲れているので踊れないと村人達に伝えて下さい」
ハモンドは困った顔御をして渋々出て行った。
それにしても細い体、鼻筋の通った高い鼻、白い肌と何処を見ても醜女とアリエ姫は思った。
「如何したのですか?」
「実は私・・・・売られるのです。私だけではありません。あと五人が売られます。売られて遠くに行きます。私達はこの村にいたいのです。姫様に止めて頂ければと思ってお話しました」
「誰が貴方を売るのですか?」
「村長です。もう何年も続いています」
その時にハモンドが村人達から文句を言われたのか? 落ち込んで帰ってきた。
「ハモンド、村長を連れて来なさい!」とのアリエ姫の怒った口調に驚きハモンドは慌てて村長を連れに行った。
今まであんなに怒った事は無いのにとハモンドは姫の変化を感じていた。
村長が焦ってハモンドとやって来た。
「アリエ様、どうかしましたか?」
「この娘が売られると言っています、この村を離れたくないとも話しています。誰に売られるのかと尋ねたら村長と言いました」
「アリエ様、これは十年以上も続く村の習わしで売られると勘違いしているのです。交換するのです。王様にも承諾を得ています」
「交換ですか? お父様もご存知でしたか? でも何故嫌がる娘達を?」
「はい、ご存じの通りこの村は醜男、醜女の塊です。少しでも醜女を減らすために行っていることです。十年前と比べると醜男、醜女の数は減っています」
「醜女達は交換されて何処に行くのですか? もし私がそのお金を支払えばこの子達は此処にいれるのですね?」
「お金は交換される娘の親に村から与える物で、与えなくても良いものです。醜女達を替えにくるのは遠い、遠い遥か彼方の国の人です。もう何年も行ってきたことで、中止となるとその国の人と話し合わなければなりません」
「私も知らない国ですか?」
「アリエ様もご存じないと思います。隣のシイド王国の港から船で半年程掛かるそうです。去年来た人替えの男が言っていました」
「その人はいつ来るのですか?」
「明日来ます」
「分かりました。明日その人と話をしましょう」
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