「アリエ姫騒動記」この国に私より美しい姫がいるなんて?
北宮 高
第1話 序章
(今日はヒヨードル・ホン・クライス卿が来られる日です。私はメシコデ王国の国王の一人娘、将来は婿を取り王女になることは決まっているの。その婿の候補の一人が クライス卿です。今日は宮廷で晩餐会を開き、その後での舞踏会で私の華麗な踊りを披露するの。そうだ! 身だしなみをチェックしなければ)
急いでアリエ姫は姿見の前に立った。
鏡に映った美しい姿、自分で思うのは可笑しいけれど何時見てもうっとりしてしまう。
鎖骨まで垂れた顎の肉、これが踊りで前後左右に揺れると男性貴族から「おー」との歓声が上がる。
増してや踊りが終盤に近づくと私の汗が真珠の珠のように顎肉の先から滴り落ちようとするのを男性達が手で受けようと近づいて来る。
(今から想像しても興奮してくるわ)
疎らに生えた金髪の短い髪の毛、その禿げ散らかし方が酷くセクシー、瞳は黒く白眼が少なく胡麻粒のように可愛い。
鼻は少し盛り上がり大きな穴が二個開いているこれも可愛い。
でも何と言っても一番の魅力は真っすぐな一本眉で太くて剛毛で顔より少しはみ出ている処がこの国の美人の条件だった。
姿見に映った四等身の体はバランスが素晴らしいが出来れば三等身のほうが魅力的だったが、それは努力しましよう。
顔もおにぎり型で申し分ないが、1つだけ嫌いな処があった。小さい口と赤いふっくらとした唇だった。
姫は完璧すぎるのもあり得ないと諦めていた。
トントンと扉を叩く音が聞こえた。
「はあーい」と返事をすると執事のハモンドが扉を開け渋い顔をして入って来た。
ハモンドには執事として私が五歳の時から身の廻りの管理をして貰っている。
私は十七歳になっていたので十二年間も一緒にいる。
山羊のような顔で小さい角が両耳の上から出ていて、それが初老でも醜男と思われない理由だった。
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