第19話

「月島!またタイム落ちてるぞ!お前やる気あるのか?」

「すみません…」

 月島は毎日木戸から厳しく注意を受けていた。木戸から言われた体重減量は毎日増えないように気をつけており、その他にも毎日1時間自主練をしていた。

 その3ヶ月後、木戸の指導のおかげで月島はオリンピックの出場権を得た。

 木戸は自分の事のように喜んでいたが、オリンピックの出場権を獲得しても木戸の厳しい指導は変わらなかった。

「オリンピックまで時間ないんだぞ!タラタラすんな!」

 木戸は周りに聞こえるぐらいの怒声で言った。それを聞いていた他の選手も不愉快な気持ちだった。

 オリンピックまで月島と木戸はテレビや雑誌のインタビューをニコニコしながら受けていたが、この時、月島は木戸の指導について言えず嘘を突き通した。

 オリンピックまで3ヶ月を切ったある日、月島はいつものように木戸の厳しい練習を終え、ふらっとコンビニに寄った。棚にあったおにぎりを見た月島は

『お腹空いた…。食べたい…。お金払おうかな…。いいや…早く食べたいから』

 そう心の声が出て月島は会計せず、おにぎりを持って行った。

 そんな事が毎日続き、しまいにはスーパーでも万引きをやるようになった。オリンピックまで1ヶ月後、ついに月島は万引きが見つかり、逮捕されオリンピックの出場権を剥奪され、監督の木戸はショックを受け、監督を辞めた。

 刑務所に送還された月島は自分のやった事に対して自己嫌悪になっていた。だが時すでに遅し。月島は罪人になったのだ。

 2ヶ月後、桜田が刑務所を訪れ、月島は8人のスターの一員となった。

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