第40話 崩壊

夏休みの終盤のある日、アイツと彼女の2人は彼の家を訪問した。

彼の家族に彼の異常を報告するためであった。

彼は2人の突然の訪問に驚き、また怒りを覚えて家から飛び出していった!



彼は自宅では「成績は悪いが普通の高校生」を装っていた。



どんなに夜苦しんでいても、彼は決して家族に助けを求めなかった。

家族が彼に心配をかけることが無い様に、家の中では努めて明るくしていた。


彼は「生物室での狂気は彼女のを掴むためのであって、私は決して異常では無いし、家族に心配をかけることでは無い」と思っていた。


それを2人が彼の家族に話したことで、彼の家族に対して行っていた努力が全て無駄になってしまったのだ!


家を飛び出した彼は、アイツと彼女の2人が帰りに通る道に先回りをして待っていた。

逆上した彼は「2人が来たらを話して、余計なことをした2人を殴ってやろう!」と考えていた。



坂の上の電柱の影で彼は待っていた。下からアイツと彼女の2人がやって来た。

親しげに会話をしながら坂を上って来る2人を見て、彼の怒りは頂点に達していた。


何故か2人は、彼と出会う少し手前の十字路を横へ曲がって行った。


予想外の出来事に彼が驚いた瞬間、込み上げていた怒りが消え去ってしまった・・・

後には絶望感だけが彼に残った。

彼は2人の後を追わず、一人坂の上で呆然と立っていた。



「もう、何もかも終わりだ・・・」彼はそう呟くだけであった・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る