第38話 発症

夜眠れなくなった彼の、唯一の安息の場所は生物室だけになった。

放課後、すぐに彼は生物室へ行くと昼寝を始める様になった。

閉門の時間までただひたすら彼は生物室で眠りつづけていた・・・

アイツや同志、そして彼女らは彼が起きるまで雑談をして待っているのが日課になった。



しかし、その平穏な期間は短かった・・・



やがて、彼は悪夢にうなされる様になった。彼は睡眠中に突然、叫び出して苦しみ始めたのだった。

彼は30分位うなされると、意識を失った様にグッタリと力が抜けて深い眠りに落ちていった。

目が覚めた時の彼は挙動不審になっていた。



彼は幻覚が見えると周りの人に言っていた。

「もう一人のが見える」と・・・



それでも彼は生物室へ毎日通い、睡眠を取り悪夢に苦しんでいった。

起きた時の彼の表情には生気は薄れ、異常に目を見開いて現れる幻覚に恐怖を感じている様であった。



夏休みになると、受験対策の補習授業を受ける口実で彼は毎日学校へ来ていた。

しかし彼は授業には参加せず、生物室で睡眠を取り続けていた・・・

午後になると、授業を終えた同志とアイツと彼女が生物室に合流して、

彼の狂気の発作を押さえようと、必死に彼を介抱していた。



ある日、彼は生物室の手前の廊下で意識を失って倒れている所を彼女に発見されたことがあった。



どう見ても彼は異常であった。アイツや同志や彼女は彼について色々相談を始めていた・・・

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