第22話 別れ

彼とあの人は自分達の街へ向かうバスに乗った。

乗車中の2人は、ほとんど会話をしなかった。

バスは彼の家の近くのバス停に先に着いた。


彼はバスから降りると、振り向いてバスの中のあの人を見た。

彼と一緒の時はいつも明るい笑顔だったあの人が、その時に初めて悲しい顔をしていた。



あの人を乗せたバスが走り去って行く、彼は何時までもそのバスを見送っていた・・・




彼はあの人に声をかけたことが無かった

あの人は彼に声をかけてくれた


彼はあの人の名を呼んだことが無かった

あの人は彼の名を呼んでくれた


彼はあの人の目を見て話すことが無かった

あの人は彼の目を見て話してくれた


彼はあの人に一度も言葉で「好きです」と言えなかった

あの人は彼に一度も言葉で「好きです」と言ってはくれなっかった・・・

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