第16話 宿命

2人で交わす交換日記の内容は他愛の無いものであった。

日々感じている事や、思っていること。

好きな音楽や本の感想など。

彼は日記で、あの人がマンガを描いていることを知った。


中学3年生の初冬頃の最大の話題は高校受験であろう。

日記の中でもお互いの志望校のことを書いていた。



あの人は県立H高校を志望していた。

彼は県立T高校を志望していた。




彼の中学校は特殊な地域にあって、中学の通学圏が2つの高校学区に跨っていた。

出身小学校で受験出来る学区が違っていたのだ。

しかも基本的に越境入学は認められていなかった。

彼とあの人とは受験出来る学区が違っていたのだ。


あの人のH高校と彼のT高校とは学力レベルはほぼ同じであった。

つまり、学区が同じならば一緒に同じ高校へ進学出来たかもしれなかったのだ。



しかし、彼とあの人はそれぞれ違う高校を受験しなくてはいけなかった・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る