詩という言葉

日野 青也

底のない沼

  沼って しってる?

  そう にごった水の溜まったところ

  なかでもね

  底のない沼は おそろしい


  足を そっと入れると

  ずぶ ずぶ ずぶ

  どこまでも どこまでも

  沈んでいくんだ


  沼の端から手をはなしたら

  もう もどれないよ

  ゆっくり ゆっくり

  沈んでいくんだ


  きれいな水なら いいかも?

  

  けれども 沼には

  にごった水


  どろり べっとり ぐちゃ

  からだに 絡みつく


  底がないから

  えんえんと つづく


  そのうち 光もなくなって


  ずぶ ずぶ ずぶ

  えんえんと つづく

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