テーマ 「夏祭り」「クーデレ」

「あのさ、今日の夏祭り…楽しかったな。」

「…うん」

夜の、薄暗い路地。

いつもは真っ暗で通れたものじゃないけど、今日みたいに、夏祭りの明かりがここまで照らしてくれる日なんかは、よく使う道だ。

「…また来ような。」

「…」

彼女は、思い出に耽るように俯いて、俺に顔を見せない。

「うん?どうした?」

「…」

一度問いかけても、彼女は答えず、じっと下を見つめる。

「だから、どうしたよ?」

耐えきれなくなった三回目。

そこで、彼女はようやく俯いた顔を上げて、俺を見る。

「…じゃあ…さ。来年も…行く…?」

少し恥じらうように頬を染めて。

答えを聞きたくないように、肩を狭く。

どうやら、否定されるのが怖いみたいだ。

「…ああ、もちろん。」

道の傍らに置いてあった提灯ちょうちんが、静かに笑った彼女の顔を照らした。

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