第3話 我が名はゴーストドライバー!

神ドライブめっちゃ楽しい。

トラック自体が私の体なので、ドライブの爽快感が半端ない。

身も心も風になった気分。


ちなみに、怪しまれないようにガワも普通のトラックに偽装している。

駐車中の他のトラックを見かけたらナンバーごとまるまるマネする作戦。

軽い認識阻害そがいもかけているから…って、霊力の消費ハンパねえ!

これじゃすぐガス欠になっちまう。高度な偽装は「見られているとき限定」にしよう。ヨシ、あとは、泥人形運転手、私の新しい肉体のテストだな。

まずは泥人形運転手に私の意識を憑依ひょういさせて…なんか泥人形運転手って呼びにくいな。

クールでエクセレントでグッドなネーミングをゲッチュウしてやろう。

クレイゴーレム、アバター、黒子忍者、影執事…ゴーストドライバー!

ヨシ、こいつの名前はゴーストドライバー!つまり、我が名はゴーストドライバー!

早速泥人形運転手ゴーストドライバーに意識を移した私は、路肩にトラックを停止させ降車。


「久しぶりのシャバの空気だぜ…」


ヨシ、かっこいいセリフもちゃんと言えた!

見た目は一般の運転手風。体も自然に動く。

廃品から復元したスマホを取り出す。お、スマホ操作もできるぞ。回線は無いけど。

ちょっとコンビニまで行ってみるかな。

…カネがねえや。神様って、どうやって金稼ぐんだ。

これが異世界転生なら冒険者ギルドで依頼を受けるところだが。

…お、賽銭か。廃車置き場が祠だった頃の賽銭が残っていた。けど、これ古銭なんだよね。売れるかな。

ん?「なんでもお売り下さい」って看板が見えるな。

売るか!売っちゃおう!でも身分証明書の提示を求められたらヤダな。

私死んでるし…異世界転生なら冒険者ギルドでギルドカード発行してもらう流れだよね。

あーいやいや、ちょっと異世界転生から頭を切り替えよう。

つか、看板見たら貴金属も買い取りしてくれそう。

荷台の廃品から金銀を抽出すれば…って、すげえあるな金。よし売ろう!

テンション上がってきた!

買い取り店のドアをバーンと開ける。


「こんにちはゴーストドライバーです!」


ヒーローポーズでご挨拶。

あっヤベー。私頭おかしい。テンション上がり過ぎ。


「…いらっしゃいませ!」


店員さんドン引きですな。

「実は倉庫でお宝がいっぱい見つかりまして…」

ウソは言ってない。

「ちょっとハイテンションになって、ウキウキで来ましたテヘ」

ウソは言ってない。

「拝見いたします」

店員さんマジクール。


私は当座の資金を手に入れた。


***

脚注 「私→ゴーストドライバー」

本作主人公。走りだしてから行き先を考えるタイプ。

ゴーストドライバーと名乗る事にした。


***

脚注 「リサイクル店の店員」

幸薄い感じの買い取り店店員女性。

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