第44話 予想被り
配信に目を落とすと2位の予想家の予想発表をヨーコさんが読み上げている。
「ゴッツ競馬さんの予想はデータ予想のマシュさんが15番ルーザーズツーパス、展開予想バイアス予想のオガさんも15番ルーザーズツーパスそしてパドック予想のガイさんも15番ルーザーズツーパスとなっています。理由としてはこのエリザベス女王杯は4歳馬が圧倒的に有利。4歳馬のパドックを比較した場合15番が一番よく見えました。前走のオールカマーでも後方から鋭く伸びてきて2着に入った実績を評価。そして今のトラックバイアスは外差し傾向ということは15番ルーザーズツーパスが本命」
それを発表した瞬間に配信コメントが沸き立つ。
<キターーーージェットストリームアタックだああああああああああ>
<まじか……ジェットストリームアタックかよ……もう別の馬買っちまった……>
<あと締め切りまで時間ある! 単勝ぶちこめーーーーーー>
<しゃあああああああああ俺と同じ本命だああああああああああ>
師匠が不安そうな感じで話しかけてくる。
「あ……ジェットストリームアタックだ……圭一郎くん……15番のステータス目立ってなかったよね……?」
師匠にいわれてノートPCを開いて確認する。
「そうですねぇすばやさが478のちからが455で他の馬からはちょっと見劣りする値でしたね」
そう言うと師匠は急に態度がでかくなる。
「ほらなぁ!! ああこいつら分かってないわー!! なあにがっ! ジェットストリームアタックだっつーのそうだ書き込みしとこ」
<ゴッツ競馬死亡確認! ルーザーズツーパスはない>
<ジェットストリームアタック知らないあほ発見>
<ゴッツ競馬最強!ゴッツ競馬最強!ゴッツ競馬最強!ゴッツ競馬最強!>
<慌てルーザーズツーパスの馬券を購入された方ご愁傷様です>
<はずれるのは↑こいつだけどな>
師匠はブツブツ言いながらスマホで入力を続けている。
そんな師匠は置いておいて配信では1位の予想に移っており画面にパワポが映つしだされヨーコさんの声が聞こえてくる。
「それでは現在1位の穴の龍さんの予想を紹介しましょう。穴の龍さんの予想はなんと16番アオイハルが本命です! 予想の理由はアオイハル実は調教が過去一番いいです。そしてこの京都競馬場とも相性が良く掲示板を外したは9回中1回のみ。前走の府中牝馬ステークスは前残り馬場だったうえこの馬が初めての府中であったため完全に度外視していいかと。ということで穴の龍の本命はアオイハル。買い目はアオイハルの単勝1点2万円で帯チャレンジ!」
あ……被った……
レスバしていた師匠の耳に16番アオイハルと聞こえた瞬間その手を止めたそして呟く。
「こいつ……デキる……」
配信コメントに目を向けると
<穴の龍? 誰それ? アオイハル?んなのくるわけんねぇだろwww単勝62倍やぞwwww>
<アオはアオでもアオイハルってか? ないない>
<穴の龍・・・見る目あるな・・・流石1位!!>
<アオイハルがきたら鼻からうどん食ってやるよ>
あまり有名じゃない予想家ということもあってか配信コメントは主にマイナスコメントが目立つ。
「師匠、予想被っちゃいましたね。しかも穴の龍さんは単勝1点って……」
「ああ、でも予想理由も的確だし説得力もある。そして俺たちと本命が一緒……穴の龍こいつできるぞ。2万外しても勝ち残こりできるんだろう……」
配信ではケンタの声が聞こえてくる。
「現在1位の穴の龍さんの本命が単勝オッズ62倍のアオイハルというとですが、穴予想ということもあって穴の予想ですね荒れるんでしょうかこのレース」
ヨーコさんがそれに答える。
「アオイハルを本命に予想されている予想家さんは現在2組ほどいらっしゃいます。まず1位の穴の龍さん、19位の異世界馬券師さんですね」
「なるほど2組だけですか。それじゃ予想家さんに1番人気はなんですか?」
「アイポポッチが7組の方が本命にされております。ついでロングロングアゴーの6組、ルーザーズマーリン6組、ルーザーズツーパス5組となっております」
それをみてテンションがあがる。
「師匠、名前呼ばれましたね!」
「ああ。そして俺達と穴の龍しかいねぇこれでアオイハルが来たら滅茶苦茶インパクトでけぇぞ!」
そんな話をしているうちにいつもの旗振りおじさんが歩いている姿が正面のばかでかいモニターに映し出されそれに合わせて地鳴りのような歓声が上がる。
そしておじさんがゴンドラにのって一番高いところに上がって旗を振る。
するとファンファーレが流れはじめ、ファンファーレに合わせて数万が手拍子をする。
そしてファンファーレが終わりおおおおおおという歓声が巻き起こり、馬がゲートに収められていく……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます