第26話 最後は三強
場内の実況が先頭から最後方までの紹介を終え、レースも中盤に入ってくる。
「1000メートルの通過は1分0秒5!1分0秒5で通過しました。先頭は変わらずテイザーフサク、その後ろにキューテンフロント!」
この1分0秒5のタイムがいいのか悪いのかはさっぱり分からない。でも9番が3着に来ないと馬券ハズレ。
師匠が呟く。
「タイムは平均ペースといったところ。グレンアルテッツァ持ってくれ……」
と言ったとあと小首をかしげまた呟く師匠。
「あれ? グレンアルテッツァの距離がもったら頭で来るんじゃねーの?」
頭って1着ってことだよな。
「あ……1着じゃだめじゃん!」
俺がそういうと師匠は首を横に振りながらぶつぶつと呪文でも唱えるようにつぶやき始める。
「いやいやいや……俺たちはステータスが見えるんだ。そのスタミナの値でグレンアルテッツァに2000は長いって断言した。俺を信じろ。圭一郎の能力を信じろ……異世界馬券師を信じろ……」
場内の実況も中盤から終盤に掛かりはじめボルテージが上がり始める。
「さあ大ケヤキの向こう側、第三コーナーから第4コーナーに差し掛かってきます!!」
するとすーーっとグレンアルテッツァが先頭の馬に並びかける。
師匠の呟きが聞こえてくる。
「持つよな……持つよな……ラメールを信じろ……手ごたえいいから先頭なんだ」
師匠の呟きは置いておいて場内の実況に耳を傾ける。
「直線コースに入っていきます。黄色い帽子2頭が先頭争い。馬場の4分所にだした9番グレンアルテッツァが先頭に立つ! 各馬の動きはどうだ!! クラウドプレーンは中団から動き始める」
遠くからリアルの馬たちがやってくるのが見える。周囲の温度がぐっとあがりはじめる。
場内の実況が状況を伝える。
「残り400メートルをきった先頭はグレンアルテッツァ! その外から伸びてくるジークアドラル! 間からは4番ボタモチ、さらに外からはクラウドプレーン!!」
赤い帽子の馬5番ジークアドラルが伸びてくるのは見える。そう俺たちが1着になると予想した馬。
「おおおおおおおおおおおおおおおおいけぇぇぇぇむさしぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
とんでもなくでかい声を出す師匠。
その声に負けずとも劣らない周囲の叫び声が聞こえてくる。
「ラメールそのままのこせぇぇぇぇぇ!!!!!」
「ごらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ洋三郎させぇぇぇぇぇ!!!」
実況の声が響く。
「ジークアドラル、グレンアルテッツァをかわすか! ここでジークアドラル先頭だ。先頭に立った! さあ残り200! クラウドプレーンも差し脚を伸ばす! やはり三強!! これは三強の戦いになりそうだ!!」
ゴクリ……生唾を飲み込む。
これは当たる!! 完璧に当たる!! そう思った瞬間、思わず
「いけぇぇぇぇぇぇ!!!」
と叫んでた。
実況の声も上ずっている。
「グレンアルテッツァをかわしてジークアドラル! ジークアドラルが突き抜けた! ここで先頭に躍り出たジークアドラル!! 1馬身ほどリードを取る。1番クラウドプレーンも追いすがる!!」
「「そのまま!! そのまま!!!」」
師匠と同じ言葉を叫ぶ。
「クラウドプレーン追っているがなかなか差が詰まらない!! ジークアドラルそのまま先頭でゴール!!」
……きた……
どう見ても5番1着、1番2着、3着9番……
隣から叫び声が聞こえてくる。
「うおおおおおおおおおおおお!!! 帯だああああああああああああああ!!! しかも2週連続!!!! 俺は馬券の天才だあああああああああああああああああああああ!!!」
そうその叫び声は師匠。2週連続で100万を獲得した師匠だった。
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