第八話 作業厨、遂に(?)50階層に到達する

 その後は良く言えば順調、悪く言えば面白味が少ない。

 そんなダンジョン攻略を続けていった。

 ……いや、仕方ないだろ?

 最初は面白かったよ。罠等の新鮮味があったし……

 だけど、20階層を過ぎれば流石に慣れてきちゃったし、ダンジョン自体は200年近く探索したことがあるせいで、結果だんだんとダンジョン攻略が観光から作業へと変わってしまったんだ。

 まあ、ニナが居る手前、流石にその態度を露骨に見せる真似はしなかったが……

 さて、そんなこんなでようやく50階層に到達した俺たちは、いつもと変わらず魔物の討伐を続けた。


氷槍アイスランス!」


 左手を前方に掲げ、氷の槍を5本放ち、前方にいた漆黒の狼の頭部を穿つ。

 そして、その奥にいた魔物は、シュガーとソルトが魔法を放ち、撃破する。


炎槍フレアランス!」


 直後、俺と背中合わせになるようにして立つニナが、後方から接近してきていた巨大な蜂型の魔物を炎の槍で焼き殺した。


「んーここまでくると、そこそこ手応え出てきたな」


 今までは適当な魔法を撃つだけで一発撃破だったが、今はある程度急所を狙って撃たないと、普通の魔法では耐えられる程度には、魔物もしぶとくなっていた。


「そうね。まあ、流石にこれくらいなら対処は出来るわ」


 ニナは任せてとでも言うように言うと、俺の方を見やる。


「だな。……お、久々に見たこと無い魔物だ」


 前方右の分かれ道から、全身を岩で覆われた体長4メートルにもなるゴリラが姿を現した。

 見た目から、名前まで予想出来てしまうが……まあ、一応初めて会った魔物と言うことで、鑑定するとしよう。


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 ・名前 なし

 ・年齢 なし

 ・性別 男

 ・種族 ロックコング

 ・レベル 388

 ・状態 健康

 身体能力

 ・体力 34500/34500

 ・魔力 28200/28200

 ・攻撃 39800

 ・防護 38900

 ・俊敏 32100

 パッシブスキル

 ・怪力 レベル7

 アクティブスキル

 ・体術 レベル4

======================================


 やはり、名前はロックコングだった。

 岩のゴリラだから、ロックコング。

 ロックミュージックをドラミングで奏でるゴリラを想像してしまうのは俺だけだろうか……

 いや、きっと世界のどこかに、俺の気持ちを分かってくれる人はいるはず!

 そんなことを考えながら、俺は前方にいるロックコングを見据える。


「グアアアアァ!!!」


 ロックコングは俺たちの姿を視認するや否や、勢いよく突進してきた。

 中々威圧感があるなぁ……

 まあ、問題は無い。


氷絶斬フローズンソード


 直後、俺の正面に立ったロックコングを横に両断するようにして、氷の斬撃が放たれ、ロックコングを上半身と下半身に両断した。


「よっと」


 その後、俺は崩れ落ちるロックコングを、軽く後ろに跳ぶことで躱す。


「よし。進むか」


「そうね」


 こうして、その後も特に何事も無くダンジョン内を進み――やがて50階層の階層ボスが居る部屋へとたどり着く。

 ここまで来れる冒険者はそうそういないようで、扉の前で待っている人は誰もいなかった。

 俺たちは顔を見合わせると、中に入る。

 中はいつもと変わらず、そこそこ広い空間だった。

 やがて、背後の扉が閉じられると、部屋の中央に魔法陣が出現する。


「ん? 今までのより大きいな」


 今回の魔法陣は、今までのより一回り大きい。

 なるほど。今までのような雑魚とは違うってことなのかな?


「そうね。50階層の階層ボスは結構強くて、Aランク冒険者パーティーでも苦戦を強いられるわ。まあ――」


「俺たちの敵じゃない……だろ?」


 俺の言葉に、ニナはクスリと笑うと、「そうね」と頷く。

 直後、魔法陣がより強く光ったかと思えば、次の瞬間、そこには全身を岩で覆われた亀のような魔物が居た。

 ああ、あいつは確か――


「アースドラゴンか」


 レベルは643。体力と防護が突出しているが、その反面俊敏はすこぶる低い。

 魔法はレベル6の土属性か。

 まあ、そこそこと言ったところだな。


「まずは俺が一発入れる!」


 そう言うと、俺は咆哮を上げるアースドラゴンめがけて魔法を放つ。


氷石化アイスストーン!」


 耐性が無ければ、問答無用で対象を氷そのものへと変える地味にえげつない魔法、氷石化アイスストーンを使い、アースドラゴンを足元から氷に変えようとする。


「グガアアアァ!!!」


 直後、アースドラゴンは再び咆哮を上げると、地面を勢いよく踏み鳴らす。

 すると、足に魔力がこもっていたのか、いい感じに氷石化アイスストーンを妨害されてしまった。

 だが、無効化までは出来ていないようで、右前足と右後足、そして右脇腹が氷へと変わっていた。


「ガアアアァ!!!」


 一部分を氷へと変えられる痛みは相当なようで、アースドラゴンは苦しそうな声を上げる。

 その隙に、今度はニナが動いた。


「任せて! 炎爆弾ブラストバレット!」


 直後、ニナの下から3つの炎の球体が放たれた。

 炎の球体はアースドラゴンの顔と右腹部に命中するや否や、勢いよく爆発し、ダメージを与える。


「ガアアアァ!!!」


 負けじとアースドラゴンも咆哮を上げると、人の頭ほどはある岩の塊を10個、俺たちめがけて飛ばす。

 だが、それは残念ながらシュガーとソルトの魔法によって、容易く撃墜されてしまう。


「よし。とどめだ! 氷槍アイスランス!」


 一方的に嬲られているアースドラゴンのことをかわいそうだなぁと思いつつも、俺はとどめの氷槍アイスランスを10本、アースドラゴンの頭部に乱れ撃ちして――殺した。

 こうして、Aランク冒険者パーティーでさえ苦戦するとされていた50階層の階層ボスは、1分足らずで撃破されてしまうのであった。


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皆さん。

お待たせしてしまい、大変申し訳ございませんでした!(土下座)

言い訳をさせてもらうと、書籍化作業があったからです!

因みに、今作2巻は10月中旬発売予定です!

……それと、遅れた理由はこれだけではなく、実はカクヨムコンテスト用の新作を、この2か月間書いていたからです!

そして、これからもその残りを書く&受験があるので、次回投稿は……いつになるんだろ?(焦り)

あ、カクヨムコンテスト用の新作は、なんと3作品もあるので、ぜひ楽しみにしてください!

僕の成長が見られる作品になっているかと思います!

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