第18話 そう、その事情が知りたかったの
「それは俺から答えよう。」
ココの拘束具が弾け飛んだ。そして身体は崩れていってスライムになった。
「お前は…。」
「スライムのカッコでは2回目だな。」
「いつの間に入れ替わったんだ。」
「それは言えないな。」
ガリウスは詠唱を行なっている。俺はそれが力を持つ前に消し去ってやった。
「無駄だよ。俺に魔術は効かない。物理攻撃も無効だ。さっき散々やっただろ。覚えてないのかい。あんた、人の話を聞きなさいとかお母さんに怒られなかったか?」
ガリウスは怒りでプルプルしている。まぁスライムに馬鹿にされたくないよな。スライムなんて弱い魔物の代名詞だもんな。でも年を経たスライムはドラゴンとも戦えるんだぜ。
まぁ俺はスライムに見せかけているだけなんだけどな。
「あんまりいじめるのは可哀想だから、さっきの答えを言おう。
まず、ココは俺と入れ替わっている。
これは俺独自の能力によるものなので、説明したところでどうやったのかお前には理解出来ない。
まず、彼女は勇者を殺してはいない。ジェネレーターが経年劣化で自壊し、暴走状態になったのを勇者が最後の力を振り絞って抑えこんだのさ。
彼女は勇者がヒトではない事を知っていた。そしてそれが露見しない様に機械にみえる部分を持ち去った。これが真実だ。」
「何故お前がそんな事を知っている。」
「ログを見たから。と言っても何のことかわからないだろうけど、ココの事なら1週間分まで遡って知ることが出来る能力を持っていると思って貰えばいい。」
「さて勇者の事だが、あんたは当然知っているよな。シマムラが本来勇者ではあり得ないという事を。そもそも勇者とは何かという事を。」
「……。」
「勇者とは聖魔戦争の時に作られた神のアバターだった。神が勇者として魔王を倒すという神々のゲームに使われた。自分の本体は傷付かず戦いを楽しめるというやつだね。
ところがシマムラは違う。シマムラのボディーは実験ナンバーが振られている。そしてアバターとして使われるものではなくヒトの脳が移植されている。」
「………。」
「ダンマリか。」
「お前らはいったい何をしたかったんだ。魔族とヒトは戦争状態ではなかった。なのに勇者を仕立てて、大魔王を殺し、多くの魔族を虐殺した。」
「そう、あなたたちは何のためにそんな事をしたの。それが知りたくて私はここに来た。」
アリサが話しの途中で割り込んできた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます