第5話
菜の花がこんなに野性的な香りであることを
僕は今日初めて知った
確かにどこかやさしく甘い
それでも混じりあう土のにおい
しっとりと湿り気を帯び
いくつもの生と死が入り混じったような
それに気づいたとき
どうしてか僕は泣きたくなった
たくさんの死にゆく命と
輝くような黄色い花びら
あまりにも儚く力強い香り
いつも春には見ていたはずなのに
どうして気づかなかったんだろう
そう言うとキミは笑って
「きっと命を知ったから」
と、かすかな声で言った
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