第14話 新たなクエスト
ルージュちゃんの魅了で死にそうになった俺だったが、なんとか平静を取り戻した。
ルージュちゃんのキラキラも治まっている。とはいえ、キラキラはしていないものの天性の魅力にスキルが加わって、今も俺にとってはとんでもない威力だ。
無事と言って良いのかは分からないが、とにかくスキルは覚えたので、いよいよ次の仲間を求めて、西の街『ポメポメ』へと向かう事にする。
ただ、せっかく街道を歩き魔物にも遭遇する事になると思うので、冒険者ギルドでクエスト受けていこうと思う。
結局〈
そこでルージュちゃんに提案してみると。
「えっえっえっ、冒険者ギルド‥‥‥」
冒険者ギルドと聞いて、ルージュちゃんの表情が少し曇った。
それを見て俺は冒険者ギルドでミスして辞めたばかりだから、顔を出し難いのかなと思った。
俺一人で冒険者ギルドへ行く事も考えたが、この先ずっとルージュちゃんだけ冒険者ギルドに行かないというわけにもいかないので、ここは頑張ってもらうしかない。
「ニーナさんもルージュちゃんが神界の仕事人の仲間に選ばれた事を驚いていたけど、喜んでいたよ。心配していたようだし、安心させてあげようよ」
それを聞いて、ルージュちゃんは少し考えてから頷いた。
「そうだよね。ニーナさんにはすごくお世話になったし、心配させちゃったらいけないよね。それに私、ニーナさん大好きだし」
そう言って、ルージュちゃんは先程までの明るい表情に戻った。
◇
冒険者ギルドの1階、俺とルージュちゃんは、どのクエストを受けるか張り出されたクエストを吟味する。
もっとも俺の知っている魔物と言えば、スライムだけだ。しかもアグライアさんが倒すのを横で突っ立って見ていただけ。冒険者ギルドで働いていたルージュちゃんの方が詳しいだろう。
初心者パーティーを壊滅させた実績のあるルージュちゃんに聞くのは少し怖い気もするが、聞いてみると1つのクエストリストを選択した。
「うーん、そうだなぁ。この一角ウサギはどうかな? ちょうど街道沿いだし、初心者パーティーの人たちがよく受けていたよ」
「〈西の街『ポメポメ』へ向かう街道沿いの一角ウサギを5匹倒す〉か。兎なら怖くなさそうだし、良さそうだね。これにしよう」
一角ウサギ討伐クエストのリストを手にして、ニーナさんのいる受付へ向かう。
ルージュちゃんは少し緊張の面持ちで俺の後ろをついてくる。
「このクエストを受けたいです」
俺はそう言って、ニーナさんにクエストリストを渡す。
その時、俺の後ろにいたルージュちゃんが、ひょこっと俺の影から顔を出して。
「こんにちは。ニーナさん」
「あ、ルージュちゃん! こんにちは」
ニーナさんが少し驚きながらも挨拶を返す。
「私、神界の仕事人さんのパーティーに入りました!」
ルージュちゃんが笑顔でニーナさんに報告する。
「ルージュちゃん、良かったね。冒険、頑張ってね。私も出来る限りのサポートするから、何でも相談してね」
「はい。ありがとうございます!」
ニーナさんはルージュちゃんを見て嬉しそうだ。
ルージュちゃんも緊張がとけ、笑顔に戻った。これで一安心だ。
俺はクエスト依頼を受けるために水晶へ手をかざし、台座から出る1枚のクエストカードを受け取った。それを大事に〈持ち物〉へ収納したら、いよいよ西の街『ポメポメ』へ出発だ。
しかし、今から『ポメポメ』へ往復するとなると、帰りは完全に夜になってしまう。夜は魔物との遭遇率も高いらしく危険なので、夜中の移動は出来る限り避けたい。
それに若い女の子を初日から夜中まで連れ回すのは、いただけない。
そもそも俺は神界の仕事人のパーティーメンバーには出来るだけ良い労働環境を提供したいと考えている。
クエスト内容によっては残業や泊まりがけの出張になる事もあると思うが、基本的には完全週休2日制、労働時間は8:00〜16:00を心がけたいと思っている。
そんなわけで西の街『ポメポメ』に向かうのは明日の朝からと決めた。
「ルージュちゃん、『ポメポメ』に行くのは明日にしよう。朝8時に迎えに行くから出掛ける準備をしておいて」
「うん。朝8時だね。準備して待ってるね」
明日の『ポメポメ』への遠征では何が起こるか分からない。今日は異世界で初めて過ごす夜になるが、しっかり休養を取らなければ。
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