転生!リセマラ勇者〜神様は世界を救う転生者の事を考えているの?エアプなの?〜
同歩成
第1部 リセマラ冒険者
第1章
第1話 『運営』
【リセマラ】
リセットマラソンの略称。主にスマートフォン用ゲームおいて、入手するアイテムなどが自分の望む結果になるまで、インストールと削除を繰り返す過酷な作業の事である。
そして、これから始まる物語は異世界において、パーティーメンバーやスキルを求めて、リセマラのような事を始めた男の冒険譚のような何かである。
◇
ここは神界。
異世界への転生者は、すべからくこの場所へ召喚される。
神界で転生を司る美しい女神の1柱クレアが転生者へ話しかける。
「転生者であるシンヤよ。あなたは何故、またここに来たのですか?」
俺がこの神界へ来たのは、何度目だろう。
もっとも、俺はこの神界の事を『運営』と呼んでいるのだが。
そして、俺は女神クレアの質問に毎回こう答えている。
「はい。初期スキルが外れだったので、リセマラです」
そう、この運営はダメなのだ。
世界を救って欲しいという割には、初期スキルがランダムなのだ。バカにしているのだろうか。
世界を救って欲しいと言うのなら、最初から有能なチートスキルを付与してくれれば良いのにと、俺は思う。間違っているだろうか。
俺がこれから向かう異世界には、使用すると様々なスキルを身に付ける事が出来るスキル本というものが存在する。
スキル本には、ノーマルスキル本とレアスキル本があり、レアスキル本を使用すると有能なスキルを身に付ける事ができる。俺が欲しいのは当然、有能なスキルを身に付ける事が出来るレアスキル本だ。
異世界へ行く転生者には、最初にスキル本を10冊引く権利が与えられる。10連レア確定や選択券、各種キャンペーンなどは何もない。
前回の俺は、10冊とも全てノーマルスキル本という残念な結果に終わった。俺は10冊とも全てノーマルスキル本という結果を確認した瞬間に〈
そんな経緯で俺は仕方なく〈
「あなた、いい加減にしなさいよ。あなたがここに戻ってくる度に、私は最高神様から怒られているのよ。『あやつは何故すぐに戻ってくるのか。しっかりサポートしておるのか』って。最高神様に『リセマラしてるみたいです』なんて言えないわ。私の評価だだ下がりよ。お給料が下がったら、どうしてくれるのよ」
知らんがな。それなら「最初からチートスキルを持ったレアスキル本を下さいよ」というのだが、それは規則により出来ないらしい。
「俺だってリセマラをしたいわけじゃないし。チートスキルを持ったレアスキル本が出たら世界を救いに行ってくるよ」
「あなた以外の転生者は運命だと受け入れて、どんな初期スキルでも世界を救おうと頑張っているというのに。本当にあなたという人は‥‥‥」
女神クレアはぶつぶつ言いながら、転生用の魔法陣をせっせと描いている。転生者毎に少しずつ違いがあるそうだ。
そして、魔法陣が描き終わったら、その魔法陣に魔力を込める必要がある。女神クレアにより、今25%まで魔力が込められたようだ。リセマラするにも時間がかかる。
俺は運営に用意されている漫画を読みながら、魔法陣の完成を待っていた。
「はい。魔法陣が出来たわよ。もう戻って来ないでよね」
「はいはい。レアスキル本が出る事を祈っていて下さい。それじゃまたね!」
「『またね!』じゃないわよ!」
◇
俺が今から向かう異世界には、平和を脅かす何人かの魔王がいる。
その魔王を1人でも倒すと、英雄の証として得られる称号『伝説の○○』
○○の部分は討伐状況をみて運営が決定するといういい加減な仕様だが、それでも俺は称号が欲しい。
しかし、今の俺はしがないただの冒険者。魔王を倒す事など絶対に出来ない。不足しているものが多すぎる。
無駄なスキルを手にして、無駄にレベルを上げても、魔王の討伐はいつになるのか分からない。必要な情報に最適なスキルを手にする事こそが、魔王を倒し称号を得て、世界を救うための近道となるはずだ。
リセマラが世界を救う! そう信じて俺は、魔法陣から異世界へと旅立った。
〜あとがき〜
第1話をお読み頂きありがとうございます。弱小作者のモチベが上がりますので、続きを読んでもいいかなと思いましたらフォローをしてもらいると嬉しいです! 宜しくお願いします!
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