醤油ラーメン煮干しダシ


 ラーメンをすする。煮干し出汁は個性的で好みが分かれるが、煮干しの風味は醤油のあっさりさに、どことなくコクが出るから不思議だ。


「あ」


 動きが止まる。ゆっくり食べようとしていた後輩に気付き。


「なんでいる?」

「先輩も」

「お客さんら知り合い? ちょっと混んでるから、差し支えないなら詰めてもらっていい?」


 店長の威勢のいい声。俺が動くより早く後輩が動いて、隣に座る。


「先輩が美味しいっていつも言うから」


 ゆっくりすする。俺は食べ終わり、横目で彼女が食べるのを見やる。


「待ってくれるんです?」

「待ってるのも悪くない」


 今度は一緒に行こうか? そう彼女に囁いて。

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