第392話 テーラー
屋敷に帰った僕は母様に呼ばれ、向かった先にはメグ姉やモイライ商会のみんなが待っていた。レギンさんやリュング、ロヴンは呼んであったけど、カトリーヌさんやマーウォさんまで来ているのは嬉しい。ちなみに、おじい様はおばあ様を連れてどこかへ出ていった。
マーウォさんに関してはナイスタイミングだ。あとで宝石のことを聞いてみよう。
「メグ姉やみんなも来てたんだね!」
「大変だったみたいだけど、体は大丈夫なの?」
「メグ姉、ありがとう。倒れたのはレベルアップが原因だから大丈夫だよ」
「メグが心配して大変だったんだからね」
「カティ!」
「カトリーヌさんも、来てくれてありがとうございます」
「またマーリシャス共和国に行っちゃうんでしょ?」
「はい、フィレール侯爵領になるので、ある程度復興させたりと忙しくなりそうです」
「そうなのね……あれっ!? ちょっとメグ、エディ君貸して」
そう言って、カトリーヌさんは僕を抱きしめる。どうしたのだろう?
「エディ君、気絶するぐらいレベルアップしたのよね?」
埋もれて声が出せないので頷く。
「もしかして能力が増えたんじゃないかしら?」
――!
カトリーヌさんの一言にみんな驚く。
「えっ!? 分かるんですか!」
「やっぱり!? 何となくそんな感じがしたのよね! どんなことができるようになったのか聞いてもいいの?」
カトリーヌさんの服飾に関する嗅覚は恐ろしいな。
「もちろんです。レベルが上がった時は戦いの真っ只中だったのと、戦闘に関係なかったので後回しにしていました」
「大変そうだったからしょうがないわ」
「まだ全て把握していませんが、服を作る能力が増えたみたいで」
取りあえずステータスを出してみる。
【能力】糸(Lv8)
【登録】麻、綿▼、毛▼、絹、ガラス、食▼
【金属】純金属▼、合金▼、ミスリル
【特殊】元素、魔物▼、蔓、ファンタジー▼、その他▼
【付与】毒▼、魔法▼
【形状】糸、縄、ロープ、網、布▼
【
【解析中】無
「今までバラバラだった裁縫や素材の項目などがまとまって【テーラー】というものになりました」
「テーラー? 聞いたことないわね」
この世界で一般的な言葉ではないようだな。地球では紳士服専門の仕立屋のことを指したりするけど、そのまま仕立屋ということでいいのだろうな。
「大きな変更としては、服の大きさを能力で変更できるようです」
「凄い能力ね! でも魔力を結構消費しちゃうのかな?」
「そうですね。試しに僕の服をウルスのサイズに合わせて作ってみたのですが、製品登録2と同じ魔力500を消費するようです」
「やっぱり何度聞いても消費量がすごいわ。使う生地の量は関係ないのね?」
「そうですね。まだウルスにしか使ってないですが、ウルスのサイズで500なので、一定なんだと思います」
「ローダウェイクの工場で作っているような平民向けには使いにくいけど、前に作ったブライズメイドみたいな貴族向けの服で同じものを作る場合には使えそうね」
「確かに、そんな依頼が来た時には使えそうですね」
前回はカトリーヌさんとセリーヌさんがすごいことになっていたから、今度は手伝えるな。
「でも、その能力、お姉ちゃんにはしばらく内緒にしておきましょう」
「どうしてですか?」
「お姉ちゃんに言ったら、ぬいぐるみの服が楽になるって言うに決まってるわ」
「……確かに言いそうです。でも逆にぬいぐるみサイズで作ってから大きくすると簡単に作れたりしないですか?」
「それは無理よ。私たちが作る時、ぬいぐるみぐらいのサイズだと細かな部分は省いて作るのよ。それをそのまま大きくしたら、体に当たる部分が痛くなったりするわ」
「そうだったんですね。見た目は一緒に見えたので全く同じだと思っていました。カトリーヌさんが言うのなら内緒にしておいた方が良さそうです」
実の妹にここまで言われるセリーヌさんって……今度、エリーに浄化してもらおうかな。段々元の状態に戻る時間が早くなっているので、ここぞというタイミングで使いたいんだよね。
「ところで、エディ君はしばらく王都にいるのかな?」
「領地のこともまだ完全に決まっていませんし、祝福の儀もあるのでしばらくは滞在することになりますね」
「良かったわ。実は遠方の貴族からドレスを作ってほしいと依頼が入っているみたいで、エディ君に付き添ってほしいと思っていたのよ」
カトリーヌさんはセリーヌさんに比べ職人気質で人見知りなところがある。さらに、ブラウの件があったせいか、貴族というだけで体が強張ってしまうとメグ姉が言っていたから不安なんだろうな。
「分かりました。もちろん大丈夫ですよ」
「ありがとう!」
貴族からの依頼か……そういえば、テーラーの能力で一つだけ気になることがあるんだよね。
【サイズ】変更、登録、スキャン
サイズの機能は三つ。変更はここで服のサイズなどを変更できる。袖の長さなど細かな調整もできるので魔力500を使うだけの価値はあるだろう。
登録は変更したサイズを記憶する能力。過去に登録したサイズを記録しているので、二度目からは魔力500使わなくて良い。
そして問題のスキャン……ウルスで試したところ、体のサイズを計測する機能だった。スキャンしたデータは3Dで表示可能な高機能。
絶対女性には使わない方がいいというか、使えることは内緒にしておいた方が良いだろうな。さすがにこんな能力があるとバレたら変態扱いされても仕方ないので、一生封印しようと思ったのだった。
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