百四話:


「メニューに領主用の項目が追加されたよ! ……いろいろな施設を作れるみたい。 徴税することもできるんだ」


 校長室にて服部領主のできることを確認中。

 しかし徴税だと?


「徴税ですか?」


「うん。施設を作ったりそれを管理するのにエネルギーが必要みたい。 領地の大きさと人数で獲得できるエネルギーが変わってくる。 それと魔石を使ってもエネルギーに変えられるみたいだね。 魔石を一定数収めさせる施設も作れるよ」


 魔石が家賃になる。 

 つまり貨幣として使えるようになるのか。

 今の紙切れになった紙幣よりは価値は保証されそうだな。

 しかしただの避難所だった場所とは変わってしまう。

 戦えない人、動けない人、魔石を確保できない人はいる。

 そういう人はどうするのか?

 滞在はいいが、施設は利用できない。 差別だと騒ぐ奴があらわれるだろうか?

 まぁ東雲東高校なら大丈夫だとは思うが。


「難しい問題だな。 教師陣にも手伝わせるか?」


「うーん。葛西先生と新垣先生にも手伝ってもらおうかな?」


 あの二人は生徒にも避難してきた人たちにも人気があるらしいから適任かな。

 なんだかんだ大人のいうことのほうが従ってくれるものだ。


「ちょっと詳しく研究してみるね!」


 やる気に満ち溢れた新領主。

 反町さんと九条さんも傍についているようだし大丈夫だろう。

 東雲東高校がどうなっていくのか楽しみだ。



◇◆◇



 新SSR装備の性能実験にきた。

 場所はお嬢様学校の東。

 アンデット系魔物が出没する場所だ。

 なぜかと言えば、夜だからだ。


「いるかな?」


 なかなか強かったデュラハンのような魔物。

 馬のような下半身の突進からのランス突きは強力だった。

 

「エポノセロス」


 漆黒の大楯。

 その表面にはトゲというか角が2本あり、鱗のように段々となっている。

 膂力が上がっているので、大楯と大剣で戦えないこともないが、今の戦闘スタイルにはあっていない。

 どうしたものか?

 そもそもどんな性能をしているのかもわからない。

 けれどこの感じる圧倒的パワー。

 ブラックホーンリアと同じランクなのだ。

 かなりすごい性能があるのではないだろうか?


「うーん……」


 忍者フリークのジェイソンの修業では習ったことがないな。

 大楯の角で突く。 ゲームでいうところのシールドバッシュ。

 うん。 ヴォルフライザーで斬ったほうが強い。

 大楯を持ったままだと立体起動もしずらい。 

 

 アンデット系を蹂躙しつつデュラハンを探す。

 侵攻拠点にならいるんじゃないかな。

 つまり魔物が多いほうに向かえばそのうち出会うだろう。


「ふっ!」


「ぐおおっ……」


 ゾンビを突き刺しながら突進。

 いつもよりパワーがあるきがする。

 筋力の増加バフでもありそうだな。

 

「え?」


 大楯をもっていない右手でパンチを繰り出すと、波〇拳が出た。

 いや、漆黒の衝撃派。

 

「ふむふむ」


 大楯の突進で倒すとエネルギーを獲得するのかな?

 ヴォルフガングと同じようなタイプか。

 注意してみると大楯にも自身の体にも漆黒のオーラを纏っているのが分かった。

 遠距離攻撃を出せるとなると、ちょっといいね。

 まぁヴォルフライザーもヴォルフガングのおかげで斬撃を飛ばせるのだけど。

 しかしこちらのほうが細かい調整がききそうだ。


「おもろ」


 連打もできるし拳大にも小さくできる。 扇状に短距離だけってのもできるようだ。

 

『ロォオオオ!!』 


 いろいろ試しつつ敵を倒していく。

 どんどん魔物が多いほうへと進んでいくと。

 本命のデュラハンが現れた。

 もうすでにこちらへと向かって突進してきている。


「はあっ!!」


 俺は大楯『エポノセロス』を構え突進。

 一瞬で彼我の距離は縮まり、激突!


『ロォオオ……』


 2本の角を突き出す出す形でオーラを纏うように意識した突進は、一つの幻影を生み出していた。


(トリケラトプスみたいだな!)


 デュラハンを吹き飛ばしその体躯に大穴を開けて見せた。

 こちらへの衝撃はほとんどなく、体幹がよくなるというか重心が凄く安定する。

 まさに重戦士の大楯だ。


「よし」


 新しい装備を試すのは楽しい。

 もう少し戦い方を試して帰るとしよう。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る