閑話:リリス隊
最近のお姉様、凄すぎです。
「はうぅ♡」
かほり。
お姉様の激しい動きからお姉さまのかほりが飛んできました。
危うく昇天するところです。
さすがですお姉様!
「キレッキレですぅ♡」
最高の御御足。
至高です。
ご飯三杯いけます。
「鳥居さん危ないですよ!?」
「大丈夫です~」
「全然っ! 大丈夫じゃ、ないってぇ!?」
お姉様にタオルを渡すのは私の使命。
だからお姉様のお側にいなければ。
振り返った瞬間に渡したいですもの。
例え戦場のど真ん中であろうともついていきますわ、お姉様。
「誰だっ、あんな奴を連れてきたの!?」
「もうほうっときなさい!」
嗚呼、お姉様のお尻に踏まれたい。
激しく動いているのにお姉様のトレードマークであるツインテールの揺れがいつもより少ないですわ。
さらに動きが洗練されてきているのですね。
お姉様オーラの輝きも増してまさに最強無敵ですわぁ!
「美愛お姉様ぁ~~♡」
「っお!? あ、危ないなぁ。 敵かと思って斬るところだったよぉ?」
「酷いですぅ♡♡♡」
「なんで嬉しそうなのぉ!?」
ゾンビも骸骨もバッタバッタと斬り倒したお姉様。
嗚呼、以前はもっと汗が出ていらっしゃったのに、この程度の雑魚では物足りなくなってしまったのですね。
タオルに染み込むお姉様汁の量が減ってわたくし残念ですわ。
「ハチミツレモンですぅ♡」
「ああ、ありがとう。 …自分で食べられるよぉ?」
「ダメです。 あ~ん♡」
本当は全身の汗をくまなくタオルに染み込ませたいのですが、今は我慢です。
帰ってからお風呂にいきましょう、二人で。
嫌がってもあ~ん♡させてくれる美愛お姉様大好き!
「ほんとやばいよ鳥居」
「さすがファンクラブ会長」
「お一人様ファンクラブ会長(笑)」
世界が大変なことになってしまって、カメラが使えないのが最悪ですわ。
まぁお姉様の勇姿を見る機会が増えたことだけは良かったですが。
脳内フォルダーが埋まっていきますわ。
「……」
以前のお姉様はつまらなそうでしたもの。
剣道の神童と呼ばれた『仙道 美愛』お姉様。
剣聖と呼ばれたお父様に鍛え上げられ、もはや日本女子に敵はいないとさえいわれている。
それでもお姉様は満足していない。
お父様を超えるという目標があるから。
それだけに
今はこれほどまでに生き生きとしていらっしゃいますもの。
「全力でサポートいたしますわ、お姉様」
お姉様の障害になりうるものはすべて排除しますわ。
「あーはやくベルゼ君戻ってこないかな。 手合わせしたいなぁ♪」
「……」
そう最近学校でも話題によく上がる『ベルゼ君』。
嗚呼、抹殺したい。
まるで恋人の帰りを待つかのような表情でベルゼ君と名前を口にする美愛お姉様。
嗚呼、抹殺したい。
背後から頸動脈を切り裂きアキレス腱切断し汚ねぇ尻に刃を突き立てて前立腺を引きずりだしてやりたい。
嗚呼、抹殺したい。
「おーい、鳥居戻ってこい! 帰るぞーー!」
「……はーい」
お姉様に近づく雄はみんな排除対象ですわ。
誰もお姉様を汚させたりしませんの。
◇◆◇
「『リリス隊』、ですか?」
「そうです。 どうでしょう、やっていただけますか? 『鳥居 円』さん」
神鳴館女学院付属高校に戻ると、栞お姉様に呼ばれました。
私以外にも数名の女学生がいます。
可愛い娘の多い神鳴館の中でも特に見目麗しい娘が多いです。
どうやら『リリス隊』はそっち方面のようですね。
「わたくし、殿方は苦手なのですが……」
「そこをなんとか」
栞お姉様は実質的な神鳴館女学院付属高校のトップといって差し支えないでしょう。
次期生徒会長筆頭。
普通の高校では大した肩書ではないですが、神鳴館女学院付属高校の生徒会長となればそれは大きなステータスです。
大学進学はもちろん、卒業後の財政界でも話題になります。
彼女に逆らってこの学校で生きていくなど不可能。
「……はい」
「大丈夫ですよ。 攻略対象は一名。 彼が来た時だけの臨時部隊ですから、普段はフレイヤ隊にいてください」
「彼……ですか?」
「そう、この先もっとも重要な人物となる彼です。 『鬼頭 神駆』さん。
「っ!」
栞お姉様の漆黒の瞳と目が合う。
……なるほど、そういうことですね栞お姉様。
「かしこまりましたわ、栞お姉様!」
「ありがとう、鳥居さん。 助かるわ」
「はい! おまかせくださいませ!!」
栞お姉様は美愛お姉様の親友ですものね。
やはり心配だったのでしょう。
故に敵の排除をご所望ということですね。
おまかせくださいませ、二度と使い物にならないようにしてみせますわ!
「「ふふふ」」
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