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  • 腐り往く面影への応援コメント


    不思議な味わいのある怪異譚ですね。前半の、死んだ父親への思いを語るKさんのくだりにも、なんともいい難い人の心理のあやを感じますが、その先に起きた顛末、これはどう解釈すればいいのか。
    仏教の九相図を地で行くような描写ではありますが、高次の存在がKさんにそのような啓蒙を施しているというわけでもなさそう(ましてや直前の相談相手がカトリックでは)。何かのメカニズムが作用して、おかしなものを見る羽目になった、と解するのが今どきの怪談っぽい見方ではありますが、それと割り切るだけでは足りないような、何かしら考え込みたくなるような余韻を含んだストーリーです。
    Kさんがそれで何か悟りを得たわけ「でもない」というのが、また不条理感があって、本作の深みを増している印象です。このKさんという存在も、よくよく考えてみるとすっきりしないキャラクターで、魅力のある、というと変ですが、一種の迷いにどっぷり浸かったまま、答えを得られないままさまよっている存在という感じがしますね。
    一般的な意味合いとはまた別の、独特の方向で、おもしろいホラー掌編だと思いました。

    作者からの返信

    湾多珠巳 さん

    御清覧とコメント、ありがとうございます

    お言葉を借りれれば「啓蒙」であるのか、それとも「何かメカニズムが作用」したのか、はたまた何らかの悪意が存するのか、いずれにせよ、極めて限定された存在である人間にとり、理解能わぬ事柄でしょう

    ご指摘の通り、Kという人物はある種、流鼠の身ですが、彼に限らず、人間というのは往往、漂泊し続けるものなのやもしれません

    感謝