第34話


ぼうっとしゃがみ込みダラけていた部員たちは、ちあきのピアノを聞いた瞬間『 ピクッ!… 』と、身動きを止めた。


『『 クラシックか!?これ! 聴いたことあるぜ! 』』


北川さんと斉藤さんが声を出してしまった、しかし、ちあきはまったく気にもとめず、上半身をリズムに合わせて、フワフワと揺らしながら鍵盤を撫でるように弾いている。


コラ!シャラッープ!…シーッ!!


吉川さんが二人のオデコにデコピンをすると、手のヒラで二人の口を塞いだ、そして微かに呟く…

この子…タダモノじゃないじゃん!…

めっちゃいい!


「 おい森?この曲… 」

「 ケイくん知らないの? 」

「 聴いたことはあるけど… 」

「 ショパンのワルツ…NO.6 …通称子犬のワルツ…

僕も弾けるけど…彼女のは違う、スタンダードじゃないよ、かなりアレンジしてるみたいだね… 」

「 アレンジ… 」

「 凄いよ彼女…目を瞑ったまま、まったく鍵盤を見ずに弾いている…」



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