第13話 シャルリエーテ様の無茶を止めろ!

 「強化魔法を今から訓練した方がいいですって!? そんな無駄なことしてる場合じゃないんですのよ!」


 やっぱりシャルリエーテ様の雷が落ちた。でも僕はここで引く訳にはいかなかった。単純に魔力切れを起こす状況を続けるっていうのはまずいと思ったからだ。


 体が無理だと悲鳴を上げている状態が魔力切れだ。だからそれ以上無理ができなくなるように、体が強制的にシャットダウンするのだ。


 それに今は1週間だけどこれからもずっと続ける可能性もある。気絶するまでにかかる魔法の使用回数が増えているみたいだから、魔力量は増えているのだろうけど……

 

 このままだと体と精神がもたないんじゃないかと思った。


「急がば回れですよ。強化魔法の維持が24時間、寝てる間もできるようになってからっていうのが、僕の考える無詠唱ができる最低条件ですよ。あっ、ちなみに僕は2~3日は維持できます」


とできる限り無詠唱の練習をさせたくなかったので、そうシャルリエーテ様をあおった。


「今のわたくしには無詠唱の習得が一番の目標ですの! あなたの意見なんて聞いてませんわよ!」


 取り付く島もない。シャルリエーテ様はなかなかに難攻不落なんこうふらくだ。


「でも僕は無詠唱ができるようになるのに必要なことを、たった今思い出してしまったんですよ?」


 シャルリエーテ様の顔色が変わる。


「それはどういう方法ですの!?」


 シャルリエーテ様が食いついた。おそらく無詠唱ができるようになるには、さっきも言ったように魔力操作の能力が必要だ。僕が使う無詠唱の手順に必須だからこそ分かる。


「僕だけが使える無詠唱のコツですけど、お願いを聞いてくれないなら教えません」


「わたくしは……」

 

 シャルリエーテ様は本当に悔しそうな顔をして迷っている。気が引けるが僕はここぞとばかりに畳み掛たたみかける。


「時間は有限です。魔力切れで倒れてばかりでは、無詠唱の習得にさらに時間がかかります」


「そ、それは確かにそうですけど……」


 倒れている2~3時間を、有効に使えるならそれにこしたことはないのだ。恐らく無詠唱ができそうだという手ごたえもないはずだ。


 迷っているシャルリエーテ様にもう一押し。


「僕のいうことを聞いてくれれば、身体能力も魔法の威力も精度もさらに上がりますよ?」


「……絶対ですのね?」


不安にれるシャルリエーテ様はそう言ったが、絶対なんてものはそうそうないと僕は思っているので


「どこかの世界では信じる者は救われれるって言葉もあるんですよ?」


 僕は神様じゃないからうまくいくか分からない。でもやっぱりシャルリエーテ様にこんな無茶なやり方を、このまま続けさせるのだけはダメだと思った。


「僕が信じられないというなら、シャルリエーテ様がその目で実際に見た、僕が使った無詠唱の魔法を信じてください」


「ん~~~‼そこまで言うならあなたの言う通りやってやりますのよ!」


と、ついにシャルリエーテ様はおっしゃった。

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