中学生編

第14話 2人の絶頂期

中学生、それは色々な事が多感な時期である

子供とも言えず、されど大人とも言えない

施設の料金は大人料金になっていくが

酒やタバコなどは子供だからと止められる


小学生なら公園で友達と遊ぶくらいしか外に行かないが、中学生くらいになると外に行ってもコンビニに行ったり、市内の店に行ったりと考え方が少し成長する


それは勿論恋愛もだ、小学生の頃は純粋な心を持っている子が多い為、恋愛と言っても

一緒にいて楽しいから好き、など我々大人とは少し違う


だが中学生になると所謂思春期に入る

性に対して敏感になり、今までと違い、

女性の場合は胸が膨らみ始め

男性も声が変わり身長が伸びる


性に関して最も敏感な年頃とも言えよう


そんな多感な時期が彼らの幸せの絶頂期だった


想いを伝え、やっと結ばれた赤い糸

この頃の彼らは、今までも、そして、

これからも、この関係が、この幸せがずっと続くのだろうと思っていた


この頃の彼女は、小学生の頃のトラウマで

俗に言う陰キャと呼ばれるほどの格好だった

眼鏡をかけて、髪も目元まで伸ばしなるべく相手と話さないようにしていた。


この頃の彼は逆で、所謂反抗期が来ていた

彼女に対しては甘いが、売られた喧嘩は買う感じで、不良とまではいかないが、

まぁ悪ガキと言われる類いだった



そんな2人だからこそ、周りから人が来ることもほぼなく、2人でいる時の方が圧倒的に多かった


彼(彼女)さえいれば、あとはいなくても良い

それを目の前で言えるほど彼らの心は繋がっていた


——————————————————————


………そう、繋がっていたのだ、それはあの時もそう思っていた


………しかし、人は変わる生き物、環境が人を変えると言うのは本当の事なんだろう


あの時の光景は今も目に焼き付いている

嘘だ嘘だと心の中で否定するが、頭では理解できていた


こんな事、本や小説の中だけだと思っていた

そんな事、現実では起こらないと思っていた


でも、現実は残酷で、無慈悲で、辛かった


そんな絶望の中で俺は笑い、ぽつりと呟く


「………あんな奴助けなければ良かった」


もし過去に戻れるのなら戻りたい、そして

彼女を助けないで、見捨てたい

あんなにも頑張った俺には申し訳ないが

それが正しい選択だったのだ。


——————————————————————


4月~入学式~


短い春休みを満喫し、僕…いや、俺達はこの日を迎えた


サユ「おはよう、サトル君」


玄関の外で待っていると後ろから声が聞こえる


サトル「おはよう、サユ」


卒業式から数週間、サユの髪は少し伸びていた、彼女曰く、目立ちたくないのだとか


俺的には彼女がどう変わろうが、関係ないが、彼女には関係あるのだろう。


サユ「じゃあ、行こっか」


サトル「そうだな」


そう言って俺達は新しい道を歩き始める

小学校と中学校は場所が違うので途中から道が変わる


初めての道なので、少し不安だが、ここは地元、余程の方向音痴でなければ間違えることはないだろう


サユ「…なんか慣れないね」


サトル「……どれの意味で?」


サユ「全部」


サトル「だな」


新しい通学路、新しい学校、そして初めての制服


小学生の頃は制服ではなく私服だったのだが、それがもう出来ないのだ


サトル「まだ、制服に着られてる感じだな」


サユ「着られてる?」


新しい言葉に❔マークが浮かぶサユ

サトルはそれを説明する


サトル「ああ、まだまだ大きいし、着こなしてないから自分が来ているんじゃなくて、自分が着られている感じだから、そう言ったんだ」


成る程、子供(と言っても自分達もまだそうだが)父や母の服を着るとぶかぶかな、あんな感じだろう


サユ「それなら、早く慣れないとね…私も今違和感があるから」


サトル「違和感?」


そう言うとサユは自分の胸を見て

その後サトルの方を見た


サユ「うん、私って女の子でしょ?」


サトル「え?」


サユ「は?」威圧


サトル「はい、そうです」


サユ「んで、やっぱり、こっちも大きくなるわけでして……」


サトル「………///」ぷい


そう言ってまた胸を強調する、そのせいで女性がつけているアレが見えて来る

その為サトルは恥ずかしくなり、そっぽを向いた


サユ「?……////」かぁ


最初は気づかなかったサユだが、徐々に自分が恥ずかしい事をしたと気づいて顔を赤く染める


サトル「ほ…ほら!さっさと行くぞ!もたもたしていると、遅れちまう!」


サユ「う…うん!そうだね!」


気を紛らわすために、大きな声で言い合い、学校に向かう


サトル「………」


サユ「………」


その間2人は終始無言で歩いて行った


学校に着くと、そこには桜の花が見事に咲いていた

小学校の卒業式と比べると大分花も散っているが、地面が桜の絨毯となっているため

これはこれで幻想的だった


サトル母「なんだ、やっと来たんだ」


サユママ「全く、急がないといけないから写真は入学式の後ね」


自転車で来ていたサトルとサユの母達はゆっくり来すぎた2人にそう言って体育館に向かった


サトル「なんか不機嫌だな」


サユ「あの教師に昨日会ったんだって」


サトル「あの教師?」


サユ「ほら…小学生の時の……」


サトル「…ああ」


そんな事を言われて思い出すのは、自分達…いやサユがいじめられていた時の担任だ


あの時は詳しく教えてもらえなかったが、この歳になって初めて教えてもらえた


どうやらあの時にサトル母はボイスレコーダーを用意しており、あの時の会話を全て録画していたみたいだ


その後サトル、サユの父を呼び、その内容を聞かせて、その後祖母がPTAの人だったらしく、情報を伝え、あいつをクビにしたみたいだ


サトル達にとってザマァ見ろと言う存在だが、元担任にとっては怒りの対象だ


サトル「それで不機嫌だと」


サユ「多分ね」


しかし心当たりがあるとすれば、それしかない


サトル「まぁ何はともあれ無事にここまでいけたんだ、この後もそうなる事を祈ろう」


サユ「…そうだね」


そう言って2人は自分達の新しい教室に向かった


~教室探し中~


教室に向かったはいいものの、ここは中学校、小学校と違い、クラスも多い

取り敢えず教室に貼ってある名前を確認する


サトル「あ、あった」


サユ「あ、私も」


サトル「………またか」


サユ「………まただね」


どうやら彼らの腐れ縁は早々切れることはないのだろう、中学校に入っても同じクラスになるなんて、本当に奇跡だ


サトル「宝くじ行ったら当たるかな?」


サユ「3等くらいは当たるんじゃない?」


ここまで来ると冗談でも本当の事になりそうで怖い、実際幼稚園から中学1年まで同じクラスになる確率なんて本当に宝くじ1等と同じくらい凄い事だと思う


サトル「…本当に行こうかな」


サユ「……付き合うよ」


終わったら本当に行く事になった

そしてまさか3等(100万円)が本当に当たるのは別の話


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~入学式~


入学式は卒業式と違って短かった

やることは特に変わりはなかったが、話も短く、中学校独特のマナー、ルールを教えてもらい、今日はそのまま終了となった


サトル「んー、やっと終わったぁ」


サユ「私達の為にやってくれているのは嬉しいんだけどね…」


嬉しいことはここの校長先生は話がとても短い事だ、しかも話もまとまってわかりやすく、もっと聞きたいと思わせる話し方をする

…この校長先生を他の校長先生も見習ってほしいものだ


サトル母「2人とも来たわね」


サユママ「よし!写真を撮るわよ!」


2人の母はすでに準備万端で、あとはサトル達だけだ


サトル「行こう、サユ」


サユ「うん!」


そう言って2人は中学校の桜の木の下で、写真を撮った


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中学生編は普通の物語です。

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