マッシュマッシュルームルーム

清水らくは

第1話

あるじ、話がある」

 険しい顔で、サンダーが言う。四人が、僕の前に並んでいた。

「な、なんだい」

「主には大変感謝している。俺たちがこうして楽しく過ぎせるのは、主のおかげだ。しかし主は、それが目的ではないだろう」

「えーと、まあ、うん」

 サンダーは真面目で圧が強い。そして頭のとげとげがいかにも強そうだ。

「強く言い過ぎよ、サンダー。オーフレイム様が困っているじゃない」

 イリーはくねくねと動いている。

「それは申し訳なかった。しかし主よ、もう十分に準備はできたはずだ」

 僕は、目を伏せた。確かに四人は十分に訓練して、実戦に向かえるだけの力を付けた。けれども僕は、彼らがこんなにも愛おしくなるなんて思わなかったんだ。

 ウズラとスターは、何も言わずに僕のことを見ていた。ウズラは微笑んでいた。スターは満面の笑みだった。

「そうだね。確かに君たちは、とても頑張ってくれた」

「そうだろうそうだろう」

「でも、実戦は危険だよ」

「わかっている。俺は命をささげる覚悟だ」

 そう言ってサンダーは胸を張った。

「それはボクも同じだな」

「おいらもさ」

「私も」

 四人が、同時に頭を下げた。

 僕は、胸部が熱くなっていた。あの、一人きりで途方に暮れていた時間。それを思い出すと、今でも涙が出てくる。

 でも、今は違う。

 四人のキノコを前に、僕は何度もうなずいた。

「わかった。本当にありがとう。そろそろ、攻勢に打って出よう」

「それでこそ我が主!」

「よっ、蟻の中の蟻!」

 スターは体をくるくる回しながらはやし立てる。ひらひらと外皮が舞っている。綺麗だと思った。それを、傷つけたくない思いがあった。けれども当人たちは、やる気なのだ。

 僕も、覚悟を決めなければならない。女王を、奪還しなければならないのだ。

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