第71話 魅惑のニーチェ登場

(えっ・・・ブルードラゴン仲間にならないの??)


ブルードラゴンが消えてユウキが思ったのは、あのタイミングでテイミングのスキルを手に入れたのに、ブルードラゴンが仲間にならなかった事への戸惑いだった。


(あのタイミングでテイミング取得なら、普通ブルードラゴン仲間になるっしょ。なんで??レッドドラゴンかグリーンドラゴンかイエロードラゴンが仲間になるの?)


「ユウキ様。予想通り苦戦せずに倒せましたね。」

「あっ・・・ああ。」

「どうしたの?」


「いや。さっきテイミングのスキルを覚えたからブルードラゴンが仲間になると思ったんだよね。だけどそのまま消えちゃったから。」

「えっ・・・ブルードラゴンって仲間になるドラゴンだったの?」


「いや・・・そういう訳じゃないけど・・・」

(なんだこれ!?訳がわからない。女神様はどうしたかったんだ???)


戸惑いはあったが、ブルードラゴンを倒したユウキ達は金色の宝箱を開けて、予定していた最強の鍵を入手した。


「これがどんな扉も開ける事ができる鍵ね。」

「ああ。でも正直、力づくで開ける事ができるから必要か?って言われたら疑問だけどね。」


「じゃあ一緒にカツヤに渡しておけばいいんじゃない?

「それはそうかも。海底神殿で使う場所があったはずだから役に立つかも。」


(そうだな。俺には今の所必要ないし、カツヤに渡しておくか。)


「ユウキ様。地下を攻略したから次は塔の上を目指すのですか?」

「そうだね。ニーチェを倒して海鳴りの笛をとっておかないとカツヤ達が先に進めないし。それ程疲れてもないからこのまま塔の上を目指そうか。」


ユウキ達は地下3階から地上に上って行き、そのまま塔の最上階を目指した。

「ユウキ?塔は何階まであるの?外から見た感じじゃけっこう高かったけど?」

「ああ。10階まであったはずだよ。たしか途中で休憩できる部屋があったはず。」


(ゲームでは素通りだったけど、こういう城とか塔って途中にベットが並んでる部屋があったはずだ。ゲームしてる時は素通りだったけど、あるなら使って問題ないよね。それに本棚とかあったら情報も得られるし・・・)


道中に出てくる魔物は先ほど地下1階と地下2階で現れた魔物と同じだったので寄り道する事なく、すいすい進んでいった。


「ユウキの言うように、地下だったらメタスラプリンセスが出て来たのに、全然出てこないわね。」

「そうなんだよ。あいつら地下限定だったから。」


「代わりに出てくるのがあの金色のウサギってわけね。」

「ああ。そういう事だろうな。だけどアイツらはメタプリ以上にやっかいだな。」


「そうね。10回は見つけたと思うけど、まだ1回しか倒せてないものね。」


水の神殿にはラッキーラビットという金色のウサギが出現する。メタリック系のスライムよりも臆病で、遭遇すると99%の確率で逃げ出す。


倒すと大量のゴールドと宝石を入手できるのだが、ユウキ達でさえ倒すのは苦労していた。


1度だけ倒せたが、どういう事か逃げ出したラッキーラビットが塔の柱にぶつかって逃げきれなかったのだ。そのままユウキが剣で攻撃して倒せたのだが・・・


その他は全て出会った瞬間に逃げられていた。


「まあ。ラッキーラビットは特に経験値が高い訳じゃないしそれ程積極的に倒す必要もないだろ?」

(もしかしてラッキーラビットが仲間になるのか?・・・いやでもラッキーラビットが仲間になっても特に必要性が・・・)


ユウキ達は途中に発見したベッドで一夜を過ごし、そのまま塔の最上階へと到着した。


「この扉の向こうにニーチェっていう魔王の幹部がいるのね。」

「ああ。油断するなよ。アイツは誘惑系の魔法を使ってくる。それにかかると味方を攻撃してしまうからおかしくなったらすぐに回復を徹底しよう。」


「ユウキ様?ニーチェっていうのは女ですよね?私とジュリアには誘惑は効かない気がしますが・・・」

「!?」


(たしかに・・・言われてみればそうかも・・・。えっ!?じゃあやばいのって俺だけ?状態異常耐性のアクセサリーは付けてるけど無効にするわけじゃないんだよな・・・)


「リーネの言う通りね。ただ、ユウキに攻撃されたら私もリーネも危ないわね。ユウキに何かあったらすぐに回復しましょう。」

「ええ。」


(誘惑系の魔法がどんな感じなのかわからないけど、主人公補正もあるしなんとかなるだろ!)


ユウキ達は最上階の扉を開けて中に入る。

そこには城にあるような豪華な椅子が置いてあり、そこには赤い長い髪、赤い目、肌は白く露出が多い、大きな胸をちょっとの布で隠した『魅惑のニーチェ』がいた。


「あらっ?こんな所になんのようかしら?アタシの神殿に無断で入り込んだ無礼者達は?」


「魔王の幹部のニーチェだな。お前を倒しに来た。」

「アタシの事を知ってるのね。でも見たところあの勇者じゃないのね?」


「あんた!プラネットでカツヤを誘惑したそうね。」

「誘惑なんかしてないわ。傍にいただけよ。まあ向こうはまんざらでもない顔でずっと一緒にいてくれたけどね。」


ニーチェは豪華な椅子から立ち上がった。

ユウキ達は武器を構えて戦闘態勢に入る。


「まあいいわ。アタシもプラネットから帰ってきて退屈してた所なの。あなた達を奴隷にして楽しませてもらおうかしら。」


『魅惑のニーチェ』との戦闘が始まった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る