第16話 勇者カツヤ。偽物疑惑で捕まる!?

ポルートの街についた3人は一番初めに宿屋に行った。連日の睡眠不足の為だ。

「は~。ようやく今日はベットで休めるわね。」

「そうだね。今日はゆっくり休んで王城に行くのは明日にしようよ。」

(っていっても王城には入れないだろうけど・・・)


ユウキ達は宿屋に入った。ちなみに同じ部屋で寝る訳ではない。ちゃんと1人1部屋あった。3人がそれぞれお金を払い個室に入って行く。

「おいユウキ、アイ飲みにいかないか?」

「いやいやいやいやカツヤ、お前元気だな?俺は飲みに行く元気がないよ。」

「わたしも~」


ユウキとアイに断られたカツヤは装備していた鎧と兜と盾をとり、1人で酒場へと向かって行った。ユウキとアイは連日の野宿の疲れで宿屋についてすぐに眠りについた。


~一方、勇者カツヤは・・・

「あいつら付き合い悪いよな~。」

カツヤは酒場のカウンターで1人愚痴りながら飲んでいた。

「勇者である俺が誘ったら普通来るだろ。あ~イライラする。」

2人が来なかった事と連日の野宿でカツヤもイライラしていた。


「勇者様なんですか?」

カウンターで飲むカツヤに1人の女性が話しかけた。

「誰だ?」

カツヤは女性を上から下まで見て

(ローブを着ているから詳しくはわからないが、スタイルは良いしフードの中の顔も美人の部類に入るな。)

「勇者様の話を聞かせてください。」

「いいよいいよ。ゆっくり話そうじゃないか。」

カツヤは気分が良くなり、ローブを着ている女性に勇者の事や冒険の事、今宿屋にとまってる事などを話した。


しばらく二人で話ながら飲んでいると・・・兵士から肩を掴まれ話しかけられた。

「お前か!?勇者様を語る偽物は?」

「はっ?何言ってんだ?俺は正真正銘の勇者だぞ?偽物ってなんの事だ?」


(やばっ!?)

ローブを着て、フードを被った女性はカツヤに兵士が集まってくるのを見ると一目散にその場を離れた。


いくら勇者と言っても酒場で飲んでいる中で、5人の兵士相手では分が悪かった。カツヤは兵士に王城へと連れていかれた。


翌朝、宿屋の部屋から出たユウキとアイは、準備を終えて合流した時にカツヤがいない事に気づいた。

「ユウキ~カツヤは?」

「知らないよ。まだ寝てるんじゃない?アイツ昨日は1人で飲みに行ってたし。」

「もう!!」

ユウキとアイはカツヤの部屋の前に行きドアを叩いた。

「カツヤ~カツヤ~。起きろ~。」

何度呼びかけても返事がない・・・


ユウキとアイはドアを開けて中に入った。だが・・・中には誰もいなかった。カツヤの盾、鎧、兜だけが置かれていた。

「カツヤいないよ~。」

(どういう事だ。なんでいないんだ。アイツがいないとやばいじゃん。兵士が来て捕まるイベントが始まらないじゃん。酒場で飲んだまま寝てるのか?)

「もしかして昨日酒場で飲んだまま寝てるんじゃ?急いで探しに行こう。」


ゲームの場合、ポルートの城の城下町で宿屋に泊まったら朝、兵士に偽勇者パーティ疑惑で捕まる。捕まって牢屋に入れられると王女が助けてくれる。そこで王女のお願いを聞くという流れだった。だが、カツヤは昨日、酒場で捕まっていたなど、宿屋でぐっすり寝ていたユウキ達には知らない事だった。


ユウキとアイはカツヤを探しに酒場を訪れていた。酒場の店主にカツヤの事を聞いて見ると、

「ああ、ソイツなら偽勇者だ!って兵士に連れていかれたぜ」

(えっ??カツヤ1人だけ捕まったのか?じゃあイベントはどうなるんだ?王女様がカツヤを助けてくれるのか?その場合どうしたらいいんだ?宿屋で待ってればいいのか・・・)


ゲームの流れと違うイベントが発生した事でユウキはどうすれば良いかわからないくなっていた。

「えっ!?捕まった!?なんで!?偽勇者!?どういう事!?カツヤ捕まったって??どうしよ~ユウキ?」

「とりあえず一度宿屋に戻ろう。落ち着いてから考えようぜ」


ユウキとアイは宿屋に一度戻った。宿屋に入ると黒いローブにフードを被った人から話しかけられた。

「あなた方が勇者様が言ってたユウキさんとアイさんですか?」

「そうですけど・・あなたは?」

(ってあれって王女様じゃないか?なんでここにいるんだ?)


「勇者様の件で話があるんですがどこか落ち着いて話せる場所はありますか?」

「カツヤの事を知ってるんですか?」

「アイ。とりあえず俺の部屋で話そう。」


ユウキの部屋に入るユウキとアイと黒いローブの女性。部屋に入ると黒いローブの女性はフードを脱いで顔を出した。

「私はポルートの王女ジュリアと申します。」

「王女様!?」

「はい。昨日酒場で勇者様とお話しをしましてユウキさんとアイさんの事を聞いたのです。」

「カツヤが捕まった事は何か知ってるのか?」

「はい。原因は私の父にあります。」

「父っていうと王様ですか?」

「はい。1週間程前から父の様子がおかしくて・・・」


(おいおいカツヤがいないのにイベントが進行していってるぞ。このままカツヤ無しでイベントを進めるのか?いや王女様はゲームでも牢屋まで行って助けてくれたいた。きっと先にカツヤを助け出すんだろう)


ユウキは内容を知っていたが王女の話を聞いてアイは衝撃を受けていた!!



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る