第14話 盗賊を倒したユウキ・・・手柄はカツヤに!?

盗賊を倒したユウキはこれからどうするか悩んでいた。

(どうするかな~。カツヤとアイはほっといて村長の娘さんを助けるか。一度戻ってカツヤとアイと合流するか・・・どっちでもいいんだけど)


そんな事を考えていると

「ユウキ~!大丈夫だった??」

ユウキの姿を見かけたアイが戻ってきた。

「ああ。なんとか盗賊のボスを倒せたよ。」

「ホントに!?ユウキすごーい。」


するとカツヤがアイの後を追って戻ってきた。

「盗賊のボスはどうなった?」

「なんか剣で向かってきたから応酬してたら倒れたよ。もう瀕死だったんじゃないかな?」

「ポーション飲んで回復してたぞ?」

「ポーションじゃなかったんじゃないかな?俺の剣で倒れたんだから。」

「まじか~!?なら逃げ損じゃん。逃げなきゃよかった。」

「カツヤ最低!ユウキを見捨てて逃げるなんて!!」

「しょうがないだろ!!負けると思ったんだから。死んだら終わりなんだぞ!」


(まあカツヤの言い分もわかるけどな。それにしても逃げる場合は個人個人で逃げないといけないのか・・・意思疎通できてないと難しいだろ。)

「まあまあ無事だったんだからいいじゃないか。それよりも奥に行って村長の娘さんを助け出そうよ。」

「ユウキがそういうなら良いけど・・・・カツヤ!ちゃんとユウキに謝りなさいよ。」

「へいへい。ユウキ悪かったな。だが形勢が悪くなったら逃げる事も戦術だから逃げ遅れないようにしてくれよ。」

「了解。」


戻ってきたカツヤとアイとともに盗賊のボスがいた更に奥へ進むと奥の部屋には縄で縛られている女性がいた。カツヤはその女性に近づいて縄をほどいた。

「もう大丈夫だぞ。盗賊は倒したからな。あなたはリル村の村長の娘さんで会ってるか?」

「はい。そうです。助けて頂きありがとうございます。」


(無事でよかった。でも連れ去られてから4日5日経ってるのに何もされていないってどうなんだ??この辺はゲーム通りって感じだな。)

「もう。盗賊を倒したのはユウキなのに~。」

「別にいいよ。カツヤがほとんどやっつけたようなもんだしな。あいつがあれほどダメージを与えてなかったら倒せてなかったし。」

「それはそうだけど・・・・」

「それにあいつは勇者だ。勇者に助けられた方が向こうも喜ぶってもんだろ!」


(まだ序盤だし。これからカツヤの性格とかアイの感情とか色々見ながら今後の方向性を決めていこう。現状、アイはきっと勇者の称号があるカツヤが気になってるはずだ。アイを俺に振り向かす時はカツヤからは完全に離しておかないと、俺が死ぬエンディングになっちゃうからな。今回はアイからの好感度が上がってカツヤからの好感度が下がったって感じだろう。今は無理をせずにコツコツやっていくのがベストだな。)


奥の部屋には村長の娘以外にもお金や装備品やアイテム品があった。

「おい。ユウキ、アイ見ろよ。盗賊が奪ったお金とか装備やアイテムが残ってるぞ。これって倒した俺たちの物だよな?」


(ゲームだったら宝箱か壷ぐらいしかアイテムとかゲットできなかったけど、現実なら目に見える価値のある物をもらっていけるんだな。町の家とかでタンス調べたり壷割ったりできないのはマイナスだと思ってたけど、盗賊のアジトとかはプラスだな。だが簡単に自分たちの物にはできないよな。)


「カツヤ。リルの村から奪われた物もあるだろうから、持って帰って村長さんに相談した方がいいんじゃないか?」

「ユウキの言う通りだよ。リルの村悲惨だったもん。ちゃんと返してあげようよ。」

「そうだな。」


村長の娘を助けたユウキたちは西の洞窟を出てリルの村へと戻ってきた。もちろん盗賊に奪われたであろう、お金や装備品、アイテム類を持って。一直線に村長の家へと向かったユウキ達。村長を見つけると村長の娘は村長に駆け寄り抱き合っていた。


「勇者様ありがとうございます。盗賊を倒してくれて。娘を助けてくれて。奪われた物まで取り返してくれて。これで盗賊に怯える事なく暮らしていくことができますじゃ。」

「勇者様、改めて助けて頂きありがとうございます。あのままだったらどんな事されてたかわかりません。本当にありがとうございます。」

村長と村長の娘が勇者であるカツヤに御礼を言っている。

「勇者として当然の事をしたまでです。盗賊を倒せて、あなたを助ける事ができて本当に良かったです。」


リルの村で一夜を過ごしたユウキ達は翌日、再度村人から御礼を言われ、村人全員から見送られて村を出た。ちなみに盗賊がため込んでいたお金や装備品、アイテム類は全てリルの村に渡してきた。ゲームでも取得できなかったのだから現実でも取得できないのは仕方のない事だった。

(まあ実際、お金とか装備品は無理やりにでも貰うことはできたけど、勇者のイメージもあるしな。)


目指すは北のポルートの城だ。道なりに進んでいけばすぐに着くだろう。

(とりあえず一番初めのイベントは無事に終わったな。次はポルートの城だな。あそこは城が魔族に乗っ取られてるからな~。まあ今回みたいに無理そうなら力だしていけばとりあえずは何とかなるか。)










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