第14話
*
日本人形に似た姿をしており……という表現が正しいかはわからないが、ちゃんと言うならば、目はクリクリのパッチリとしており、肌も白く、髪も日本人形のような美しさを感じる、つややかな髪質をしていた。
この表現が正しいのかはわからないけど、日本人形を人間化したら、きっと、そんな形になっていたであろうと思わせる姿をしていたってこと。
小学生らしい子ではあったのだが、そのなかには間違いなく美しさを兼ね備えていたように思える――しつこいくらいに。
話を戻そう。
一年前、僕は伝播高校に通っていなかったとき、N県の鷹爪小学校あたりを歩いていたときのことだ。
僕は四年ぶりに綿里未雪に出会った。
小学生のころの面影はあった。
だけど、彼女は間違いなく高校生らしい姿をしていた。
成長していたのだ。
身長は小学生のころと変わらず、あんまり伸びていなかったのだが、顔は大人っぽくなっていた。
彼女も僕に気づいた。
「神憑くん?」
「うん、久しぶり……綿里さん」
「なんで、ここに?」
「なんで、かな……はは」
正直に言えない。不登校だなんて。
「久しぶりに、ここへ来たかったんだよ。誰かに会いたくて」
「誰かに?」
「そう、綿里さんにも、さ」
照れが隠せない。
「少し話がしたいんだけど、どこかへ行かない?」
「いいけど……ファミレスでもいい?」
「どこだっていいさ!」
でも、お金は、あんまりないから――。
「ファミレスへ行こうか!」
情けない。
*
ファミレスで話をする僕ら……しかし、僕は彼女に不登校であることを隠している。
そのことに関しては、なにも言えない――情けない自分を見せたくないからだ。
彼女の前では、かっこつけていたいんだ――男って、そういうものだろ?
彼女――綿里未雪は商業高校というところに通っているらしい。
そこで簿記という資格を取ろうと勉強していると言うのだが。
「簿記の資格の試験って難しいんだよ。社会に出たら絶対に必要って言われているけど、わたしには取れる気がしないなあ……」
「綿里さんなら、いつか取れるよ。だって頭よかったし!」
「小学生のころだよ、それ……今、わたしたちは高校生だし勉強についていけなくなるのが普通でしょ? そういえば、神憑くんって、どういう高校に通っているの?」
「ごく一般的な普通の高校だよ」
……としか言えなかった。
心をごまかしても、どうにもならないのに……。
そんな感じで、いつの間にか夜になっていった。
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