第5話 白百合京子 家族

はぁ~夢みたい、今迄の不幸が嘘みたい。


今でも信じられないよ~


「お母さん、明日から私の分のお弁当は買わなくていいわ」


「あらっ可哀想にもうフラれちゃったの?」


「まぁ、お姉ちゃん1日だけでも良かったじゃない? 良い思い出が出来たんだから」


普通はそう思うよね。


嫌味じゃ無いのは解るけど酷いな、、男と触れ合える、それだけで幸せなんだから。


一緒に食事をした。それだけで1週間は自慢できる...だけど違うんだよ。


この幸せはまだまだ続くんだから。


「違うよ、ただ黒木君は、既製品より手作りが食べたいんだって、だから、明日から頑張って作るんだよ」


「京子、それ本当なの?」


佐和子は信じられない、男が女の作った手料理を食べるなんて普通ならあり得ない。


事実、自分の経験でも、手料理を食べて貰う様なことは人生で3回位しかない。


「お姉ちゃん、もしかして夢でも見ているのかな? 幾ら相手が不細工な男でも、それは無いって」


「だけど、本当だから、だからお母さんお弁当の材料だけお願いできないかな?」


「いいけど...本当なのね?嘘だったらお母さん許さないわよ」


「嘘は言わないよ」


「じゃぁ準備してあげるわ、、可愛い娘の為ですものね...嘘じゃ無いのね?」


「うん」


「でも、本当なら外見はともかく性格は随分良いのねお姉ちゃんの弁友って」


「むうっ 外見だっていいもん」


「何、膨れているのお姉ちゃん、幾らなんでも、流石に知くんみたいな普通の男の子じゃないでしょう?」


多分、黒木くんの写真を見たら驚くだろうな...


「じゃぁ、写真見てみる?」


「えっ、もう写真撮らせてくれたの? 凄く性格の良い人なのね、どんな男の子でも掘り出し物じゃない。京子は、チャンスが少ないんだから手放しちゃ駄目よ」


「本当そう思うよお姉ちゃん」


「はい」


「嘘、何この美形、合成じゃないのよね...肩まで組んで貰って、まるで恋人みたいじゃない。 京子これ本当にアプリとか合成じゃないのね」


こんな綺麗な男の子が京子の相手なの?  どう考えてもあり得ないレベルの男の子じゃない。


「嘘だ嘘だ嘘だ...これ男優だって勝てない位美形じゃない。あれっだけど、これ可笑しいよ、やっぱり嘘だ、だって横にほら違うお弁当があるよ」


「横見て、ちゃんと私のお弁当もあるでしょう?」


「京子、これって、、そうすると まさか」


「うん、黒木君が私にって作ってきてくれたの?」


「京子、大金星、お母さん、こんな子にお母さんって呼んで貰えるなら何でもするわ」


「気が早いよお母さん」


「そうだ、お弁当の材料だったわね? これから、母さん、フォワグラとキャビアと松坂牛買ってくるわね」


「お母さん、知くんのお弁当は」


「チェ、ついでに買ってくるから良いでしょう」


「ついでって、、お母さん酷い」


「あのね、母さんは可愛い息子が欲しいのよ? 黒木君と智くんじゃ太陽と石ころ位の差があるじゃない?差があるのは当たり前でしょう?」


「だけど、知くんだって、、、あれっ確かに違うよね? 私が間違っていたかも。お姉ちゃん頑張って黒木くん落としちゃえ、応援するからさ」


よく考えて見れば、お姉ちゃんが黒木君を落とせば、私のお兄ちゃんになるよね?


そこから頑張って第二婦人になればいいじゃん!


だったら、知くんは邪魔だよね。


「本当に」


「勿論、お母さんもう知くんのお弁当は要らないや」


「やっぱり気が付いたのね?」


「勿論だよ、お母さん」


「そう、だったらやる事は一つ、全力応援あるのみだわ」


「了解」


次の日、知くんは男なのに【昼食抜き】という体験をしそうになったが、他の女の子が弁当を渡した為事なきを得た。


「お前なんか知らない」そう知くんは奈々子に言ったが、奈々子は気にしなかった。




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