第4話 お泊りデートなら、まずはゲームでイチャつきたい!

 〇キミの部屋(夜)


 SE:部屋のドアを開閉する音。


 ◆千夏、恥ずかしそうに入室する。



 お、お邪魔しまーす……。


 なんかよそよそしいって……そりゃあ、いつもと違って当然だよ。

 だって、お泊りデートだよ?

 大好きな人と一緒にお泊りするなんて……いろいろ考えて、ドキドキしちゃうもん。


 あ。なんだ、その恥ずかしそうな顔は。

 もしかして、えっちなこと考えてるんじゃないのー?


 ふふっ、冗談だって。キミはいつでも私のことを大事にしてくれるもんね。ムリヤリそういうことしないって信じてる。


 ふぅ。キミと話したら、ちょっと落ち着いてきたかも。

 まだ寝るまで時間あるし、何かして遊ぼうよ。


 あ、新しいゲーム機あるじゃん!

 これやろうよ!


 ふーん。格ゲーかぁ。

 むむっ。ばかにしちゃいけないよー?

 こう見えて私、格ゲー得意なんだから。


 キミも得意?

 ほんとかなぁ? 小学生の頃、私に一回も勝てなかったくせにー。


 はいはい。わっかりました、いいでしょう。対戦してあげますよ、ええ。


 そうだ。ただ対戦するだけじゃつまんないから、罰ゲームありにしない?

 負けたほうが、勝った人の言うことを何でも聞くってのはどう?

 勝つのは俺だからべつにいいって? あはは、すごい自信じゃん。

 私もいいよん。あとで泣いて謝ったって知らないからねー。


 じゃあ、ゲームスタート!



 SE:ゲームの起動音。

 SE:コントローラーのボタンを押すカチャカチャ音(時間経過)。



 はい、私の勝ちー!

 なははー、言ったでしょ? 私、格ゲー得意なんだってば。


 キミはもう少しガードを意識したほうがいいよ。コンボ決めるのが気持ちいいのはわかるけど、攻撃に意識が集中しすぎてるから。


 あはは、拗ねないの。


 さて。お楽しみの罰ゲームたーいむ♪

 んー。何にしようかなぁ。


 えっ……なんでもいいの?

 じゃあさ……あまーいお願い、してもいいかな?


 その……後ろからハグしてくれない?

 だ、だめかな?

 そ、そお? ……ありがとう。


 なんかちょっとドキドキするかも。キミも顔赤くなってるけど、大丈夫?

 わ、私も顔赤くなってる?

 あんまり見ないでよー。恥ずかしいじゃん。


 ……うん。心の準備できた。きて?


 ねえ、遠慮しちゃやだー。もっとくっついてよ。

 だーめ。ピッタリくっつくの。

 な、なんだか照れくさいね、えへへ……。

 こういうふうに、恋人とくっつきながら一緒にゲームするの、なんかよくない?


 ……キミの腕の中、あったかいね。


 こ、こらぁ。照れるなよー。

 私まで照れくさくなるじゃんか。


 ほら。ゲームやるよ?

 次も負けないんだからね。



 SE:コントローラーのボタンのカチャカチャする音(時間経過)。



 なははー、また私の勝ちー。


 結局、キミは一回も勝てなかったね。もう少し白熱したゲームになるかと思ったんだけどなー。次回までに特訓しておいてよね。


 え? また泊まりに来るのかって……いいじゃんか、べつに。彼女が彼氏の家に泊まるのくらい、ふつーだもん。


 むぅ……キミは私とお泊りするの、いやなの?


 嫌いじゃない、か……あははっ。遠回しな言い方がキミらしいね。素直に好きだって言えばいいのにー。うりうり。言っちゃいなよー。「千夏とお泊りデート、またしたいな」って。


 ……そ、そう。本当に言ってくれると思わなかった……嬉しいな。えへへ……。


 は、恥ずかしいから、この話はおしまいっ!


 さてさて。今何時かなー……うわ、もうこんな時間か。そろそろ寝なきゃじゃん。


 えっと……キミ、まだ罰ゲーム一回しかやってないよね?

 まだ罰ゲーム残ってるから、またお願いしてもいい?


 その……一緒に寝よ?

 手を繋ぎながら寝たいなーって……だめ?


 ……ありがとう。

 はぁー、勇気だして言ってよかったぁ。


 じゃあ、寝る支度しよっか。


 ね。シャワー借りてもいい?


 あっ……べ、べつに変な意味じゃないからね? 普通に一日の汗を洗い流したいだけだから! そ、その、キミが思っているようなイベントは全然ない! いやほんとに!


 かっ、顔赤くするなぁー!

 は、恥ずかしいじゃんかよぅ……!


 はぁ……変な妄想しないでよね。いつからそんなにえっちな男の子になっちゃったの? 彼女としては非常に残念です。


 あはは、うそうそ。そんなことでガッカリしないって。


 じゃあ、先にシャワー借りるね。



 SE:がちゃ、とドアを開ける音。



 ……いちおう、言っておく。

 覗いたら、だめだからね?



 SE:ばたん、とドアを閉める音。

 SE:移動の足音(床はフローリング)。

 SE:衣擦れの音(脱衣所で脱いでいる)。

 SE:シャワーの音。



 ……どうしよう。断られると思ったのに、まさか同じベッドに寝ることになるとは思わなかったよぉぉぉ……!


 なんであんなこと言っちゃったんだろ……恋人気分になって舞い上がっちゃったのかな。


 ……どうしてアイツは一緒に寝てもいいなんて言ってくれたんだろ。


 まさか私のことが好きになったってことは……ない、とは言い切れないよね。普通に考えて、好きでもない子と一緒に寝たりしないもん。


 つまり、脈がないわけではないはず。


 よーし。今晩こそ、絶対にドキドキさせてやるんだから。

 覚悟しとけよー、鈍感な幼馴染。

 ベッドの中で、全力で甘えちゃうからね?

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