8月14日
8月14日、僕は幸せな気持ちで昼食を味わっていた。目の前には色々な料理が並んでおり、どの料理もテレビで観るようなきらびやかな感じの料理ではなく、どちらかと言うならば、お爺ちゃんお婆ちゃんの家で出るような料理ばかりだったが、その素朴さすら僕にとっては魅力的に見えていた。
「オオバさん、昨日の夜も今朝も思いましたけど、オオバさんの料理は本当に美味しいです!」
「ふふ、喜んでもらえてよかったわ。本当はもっと若い子向けの料理も作れたら良かったけど、私が作れるのはこういうのばかりなのよね」
「いえ、大丈夫です。オオバさんの料理というだけでも特別感がありますし、こういう料理を作れるオオバさんも十分素敵です」
「あら……言葉が上手ね。青志君みたいな子が育つんだもの。ご両親もとても素敵な方々なのかもしれないわね」
「二人とも喧嘩一つしない程に仲良しですよ。母さんも父さんも昔から結構異性から告白される事が多かったみたいで、二人が付き合い始めた時には誰もが祝福していたようです」
「……そう、それは素晴らしいわね。それなら、私も青志君のお父さんに会ってみたいわ。どれだけカッコいい人か興味があるもの」
その言葉を聞いた瞬間、僕の胸はチクリと痛み、父さんへの嫉妬と憎しみで胸の奥がざわついた。
「……オオバさん、父さんがオオバさん好みだったら、僕にはもう会ってくれませんか?」
「あら、焼きもち焼いてるの?」
「焼きますよ。たしかに父さんは仕事と家庭をしっかりと両立していて、優しさと厳しさをしっかりと使い分けて接してくれますけど、そんな父さんだからこそオオバさんを盗られたくない。それくらい僕はオオバさんが好きなんです」
「青志君……ふふ、とても嬉しいわ。安心して、会ってみたいとは思っても会おうとはしないから」
「……本当ですか?」
「ええ。というか、私と青志君の関係が知られたら、そもそも会えなくなるものね。だから、安心して。私の恥ずかしい姿を見られるのは青志君だけだから」
その言葉を耳元で囁かれた事で、僕は安心すると同時にドキリとし、昼食だけじゃなくオオバさんを味わいたくてたまらなくなっていた。
「オオバさん……」
「……ふふ、そっちもお腹が空いたみたいね。良いわよ、ご飯の後はいつも以上に甘えても。怒らせちゃったお詫びとして、ね?」
「それは嬉しいですけど……オオバさん、約束してください。いつもやってる事を僕以外の異性としないって」
「……ええ、約束するわ。さあ、早く食べちゃって。もっとも、料理と違って私は冷めちゃわないけどね」
その言葉を聞いた後、僕は味わいながらも急いで食べ、食欲の獣から性欲の獣へと変わり、オオバさん自身を心行くまで堪能させてもらった。
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