恋の【かきくけこ】

平 遊

第1話 「か」

 今回のターゲットは、真由奈ちゃん。

 妹系女子、っぽい。

 天然なのか素なのか、イマイチよく分からんが。

 淡いピンクのチュール系の膝丈スカートに、バルーンスリーブっていうのか?ふんわり膨らんだ短い袖の白いブラウスを合わせて、全体的にはどことなく『幼いお姫様』な感じだ。

 肩に付く長さの髪も、緩いウェーブでフワフワしているし。



「え~、知らなったです~、私!すっご~い!」


 何を話しても、これ、連発。


 いや、知ってるだろ?これくらい。


 とは思いつつ。

 クルンと綺麗に巻き上げられた睫毛をパチパチさせて、潤んだ瞳で俺を見て来るもんだから、俺としたってそう悪い気はしない。


「これくらいなら、いつでも教えるよ?」

「さすが~!優しいですね」

「優しい?俺が?」

「はい、とっても」

「言われた事ないけど」

「そうなんですかぁ?!優しいと思うけどなぁ・・・・わたし、優しい人好きです♪それにこの腕時計、センスいいですよねぇ」


 もはやウットリ夢心地な真由奈ちゃん。

 俺からもそろそろ、攻めさせてもらおうかな?


「ありがとう、嬉しいよ、真由奈ちゃん」


 微笑みながら彼女を見る。


「真由奈ちゃんは、わいいね」

「えっ?」


 悪くない反応。

 続けて、彼女の耳元に口を寄せて囁く。


「俺、好きだよ。かわいい人」


 見る見るうちに、彼女の頬が染まり始めた。

 さて。

 そろそろ抜け出そうかな、この合コン。

 真由奈ちゃんと、2人だけで。

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