年下幼馴染JKが癒してくれるだけの話

あげもち

Part1 : 幼馴染JKといちゃいちゃ

 ——あぁ、今日もなんか疲れたなぁ。


 20時半、薄暗い照明と白い廊下。


 無機質なドアに鍵を差し込んで、ぐるりと回す。


 ガチャリ。


 鍵が空いた音を聞くとドアを開ける。刹那、ふわりと味噌汁の香りが鼻腔を刺激した。


 また、あいつか。


 そう思っていると、そいつはリビングからひょっこりと顔を出す。そして、


「おかえりお兄さん♪ 遅かったね残業?  ね、私にする? それとも私? あー、それとも……わ・た・し?」

 

「もしもし、生徒指導部の先生ですか? お宅の学校の生徒が」


「あーはいはい! ごめんなさい調子に乗りました! だから電話かけないでよ〜」


 そう声を上げながら、俺からスマホを取り上げようと一生懸命手を伸ばす。ショート丈の黒髪から、シャンプーのいい香りがした。


「安心しろ、まだ電話してないから」


 そう言うと、もぉー、意地悪なんだから。と頬を膨らまして一歩後ろに下がる。


 そして、ふふっと小さく鼻を鳴らし、


「夕飯できてるよ、お兄さん♪ 一緒に食べよ?」


 桜川紗季さくらがわさきはやんわりと微笑んだ。




 桜川紗季さくらがわさき


 整った顔立ちと、黒髪のショートが特徴的な女子高生。歳は17歳で俺とは7つほど離れている。 


 こいつとの出会いは、話せば長くなってしまうのだが、最初に俺と話したのは、まだ紗季が幼稚園生の頃だったと思う。というのも、親同士がそもそも学生時代の同級生だったらしく、よく紗季を家で預かることが多かったのだ。


 それから小学生ぐらいまでは、ものすごくお転婆だったのだが、中学生に上がると少しずつ落ち着き始め、高校生になるとまさに、一人の女性になっていた。


「ね、お兄さん」


 頬杖をついて、わざとらしくたわわに実った胸をテーブルに乗せる。ボタンを緩めた制服の襟元から、谷間が見えて視線を逸らす。


「美味しかった?」


「あぁ、美味しかった。ありがとう」


「えへへ、最近学校の家庭科の授業で誉められたんだ〜。とりあえずシャワー浴びて来てよ。こっちは私が洗っておくからさ」


 そう、席を立つと食べ終わった食器を回収し、流し台へに持っていく。


 短い制服のスカートから、肉付きのいい白い太ももが見えて、思わずそちらに視線が行ってしまった。


「ん? どーしたの?」


「あ、いや……何でもない」


「ふーん」


 慌てて返して、脱衣所へと向かう。


 服を脱ぐと暖かいシャワーを浴びた。


 きっと、同年代の子と比べても紗季の体は発育がいいだろう。大きく実った胸と、肉付きの良い健康的な太もも。


 それでも一切太って見えないのは、制服の上からでもわかるクビれた腰回りと、すらっと伸びる足のおかげなのだろう。


 綺麗な八頭身。そんな恵体にプラスして、あの顔立ちの良さ。黒い前髪から覗くパチリとした目は、魔性的と言う言葉以外の何者でもなかった。


 だがしかし、あえて端的に言わせてもらおう。


「……エロい体つきしやがって……」


 太ももの上で、ひらりと舞うスカートを思い出して、どきりとした。


 シャワーを浴び終えて、使ったバスタオルや着ていたシャツを洗濯機に入れて回す。


 リビングに戻ると、紗季はソファーに座ってテレビを見ていた。


 こちらへ顔だけ向けると、アイスを頬張りながら口を開く。


「んー。ひーるひえへるよ」


「食べるかしゃべるかどっちかにしろ、行儀悪いぞ」


「ん……はーい。あ、垂れた」


 アイスを口から離すと、バニラアイスが溶けて、太ももの上に落ちる。それがアレにしか見えなくて、何だか申し訳ない気持ちになった。


「ほら言わんこっちゃない……」


「お兄さんティッシュ取って〜」


「自分で取れるだろ……ほれ」


「ん、ありがと。……ね、お兄さん」


「ん?」


 すると、魔性的に上目遣いでこちらを覗き。


「これ、めっちゃエロくない?」


 そう悪戯な笑みを浮かべる。


 まるで内面を見透かされたような言葉に、唾が気管の方に入って、思いっきりむせた。


「ちょっと、大丈夫?」


 さわさわと優しい手つきで背中をさする。


 視線を下に向けると、溶けたアイスが太ももを伝って、膝の方まで伝っていくのを見て視線を逸らした。


「……取り敢えず拭けよ、それ」


「え、うん」


 頷いて、自分の足をティッシュで拭う。


「うわ、膝まで垂れてるし」なんて、紗季の独り言を聴きながら冷蔵庫のビールを取り出し、プルタブを引くと、グイッと一気に煽った。


「ふぅ〜、風呂上がりのビールは最高だ」


「私にも一口ちょ〜だい」


 そう俺に体を寄せる。腕に柔らかい感覚がして、どきりとする。


「だめだ未成年、お前は牛乳で我慢しろ、つーか暑い離れろ」


「え〜。じゃあ、私が20歳になったら飲みに行こうね、約束だよ?」


「まぁ、そんな時はな」


「やった!」


 小さくガッツポーズをすると、嬉しそうにソファーに飛び込み、その隣をポンポンと手で叩く。


「ふふっ、それじゃあ、私の居酒屋ヴァージンはお兄さんで予約が入ったから、一緒にテレビ見よ?」


 隣に座れ、ということなのだろう。仕方なくソファーに腰をかけると、グッと深く沈んだ。


「距離遠くない?」


「いや、適正距離だと思うけど」


「むう、絶対に遠いよ! ほら、もっと寄って!」


 そう言われ、渋々紗季に近づく。


「もっと!」


 その度に、柑橘系のいい香りが鼻腔を刺激した。


 そして、最終的には肩が密着した状態になって、テレビに視線を向けるも、視界の中に紗季の足が自然と映り込んで、集中できない。


 立っている時とは違って、太ももがむにっと広がっているのを見て、心拍数が上がっているのを感じた。


 一方紗季は、満足げにうんうんと頷くと、


「今日はいっぱいイチャイチャしよーねー、お兄さん♪」


 そう、悪戯に笑うのだった。


「何だよ、イチャイチャって」

 

「イチャイチャはイチャイチャだよ、ほら、私を彼女だと思って」


 そう言って、頭を右肩に乗せてくる。なんか、めっちゃシャンプーのいい匂いがする。


「ね、私の頭撫でてみてよ」


「は?」


「い、い、か、ら!」


 強引に右手を引っ張られ、紗季の頭の上に乗せられる。


 はぁ、と息を吐き、ゆっくりと手を動かす。


 サラサラで、撫でるたびにシャンプーのいい匂いがふわりと舞った。


「……」


「なんでちょっと不満そうなんだよ」


「なんか、昔と比べると下手」


 そう言われて、ぎくりとする。


 そりゃあ、小さい時と比べるとだいぶ成長してるし、その分頭の位置だって変わるだろう。


「じゃあやめるか?」


 手を止めて、そっと離そうとする。すると、俺の手上から紗季の白い手が重なり、


「……でも、これ好き」


 やんわりとした物言いと暖かさに、思わずどきりとした。


 それからしばらくの間、テレビを見ながら。紗季の頭を撫でていた。


 すると、突然、


「もう撫でるのやめていいよー、次はー……よいしょ!」


 撫でていた俺の手を掴み、肉付きのいい太ももで挟む。そして腕にぎゅっと抱きつくような姿勢になると、体重をこちらにかけてきた。


「な、おい!」


 手に伝わる、サラサラで柔らかくて、暖かいものに包まれているような感覚。


 思わず変な妄想をしてしまいそうになって、手を離そうと動かした。


「あ、ダメダメお兄さん。そんなに激しくした、ら……んっ」


 耳元で、紗季が色っぽい声をあげる。


「……お兄さんのえっち」


「不可抗力だ!」


「てかさ、さっきからずっと足見てたでしょ?」


 その言葉にどきりとして、嫌な汗が額にじんわりと浮かんでくる。


「前から思ってたんだけど、お兄さんもしかして足フェチなの?」


「いや、そんな事……」


「へぇー……それ!」


 すると紗季はTシャツの中に手を忍ばせ、俺の胸に手を当てる。サラリとした感触に思わず声を上げた。


「おい、紗季!」


「ね、心臓早いよ? もしかして興奮してるの?」


 妖美に笑って、目を覗き込む。吐息がかかりそうな距離。きっともう少し顔を近づけたら、キスができてしまうのだろう。見つめているとどこまでも吸い込まれそうな綺麗な瞳が、視線をとらえて離さない。


「ね、どうなのお兄さん?」


 囁くような声に、ぎこちなく首を縦に振った。


「ふふふっ。正直なんだね。じゃーあ、もう少しこうさせてくれたら、次は膝枕、してあげようかなー?」


 居心地が良さそうにだらっと体重を預けると、手を挟む太ももがぎゅっと締め付けを強くする。


 そして、ふふっと鼻を鳴らすと、


「ね、お兄さんの手、暖かいよ」


 そう、耳に息を吹きかけた。






 



 


 

 


 


 


 

 

 

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