第31話 クレーム
解けない氷も無事調達し、また店長室で怠惰なおでん食いをしているカナマートの店長のカナ。
「あーおでんは飽きないし旨いわー」
3号店のロボットバイトがミューミューに乗って売上金を運んできた。
「おつかれー」
ふとモニターを見てみると、ドワーフの客とロボバイトが何やら言い合いをしているように思えたので、おでんを机に置き、レジに向かってみた。
ドワーフが大声をあげて、他のお客さんを怯えさせている。ロボットバイトはあたふたしている。これは見逃せない。
「ほえぁ?何かありましたか?」
気のない言葉でドワーフに語り掛ける。ドワーフはやっと上の者が来たかという感じでつっかかってきた。
「この店は品ぞろえが悪いのう」
「そんな事ありませんよ!おでんにソフトクリームにポテチに…」
「食べ物はまぁいい。問題は他のものじゃ」
「…と、いいますと?」
「例えばエルフ用の消臭スプレー、ないのが考えられん!エルフの綺麗好きはお前らも知っておろう!なぜ置いておらんのか…」
「でもお客様ドワーフですよね?」
「じゃから!同じくドワーフ用の消臭スプレーもない!独特の体臭が出るのは分かっておろう!なぜ置いていない!?」
「それは申し訳ございませんでした。納品しておきますので…」
「そのくせトカゲ用のシャンプーは置いてあったりするのは何故じゃ?」
「あ、それはトカゲのお客様からのリクエストでして…」
「じゃあワシもリクエストするぞい!置いておいてくれ!」
吐き捨てるように言ったドワーフは、プンプン怒って出口に向かっていった。
「うーん。納品するのは簡単だけど、何か入れたら何か出さないといけないのよね…」
コンビニの品は常にパンパンである。ここからのチョイスがお店のセンスに関わってくるのだ。
ロボットバイトと相談した結果、雑誌コーナーを縮小してスペースを確保することにした。いっそのこと「消臭スプレーコーナー」として置こうかという話も出た。
消臭スプレーは3日後に届き、さっそく並べる。
数日後、例のドワーフが来て驚いた。
「スプレーもうあるじゃないか!買った買った!」
そう言ってドワーフはスプレーを買い占めた。たまたまレジを打っていたカナは、エルフ用の消臭スプレーも見つけて、
「あれ、エルフ用のもありますけどいいんですか?」
と問うた。
「いやあ同じパーティーにエルフもいてな、その…わかるじゃろ?」
「ははぁん…そうですか」
察したカナは一緒の袋に入れ、渡した。
「仲良くなれるといいですね!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます