Ⅵ‐6

 由美子さんと話してて、さっきは、いっかって思ったけど、家に着いて部屋で1人になったら急に不安になってきた。思い返してみたんだけど、俺が途中でしょうもないこと喋りだしてうやむやになったこといっぱいあったよね?


 由美子さんが高杉に行くっぽくて、沢ちゃんは明確な意思表示は無いけど、中谷といい感じなはずで、その中谷のことで俺は好きだっつって何回か相談してるわけで、沢ちゃん的に中谷に行きづらい状況にしたまま俺は村田さんに行ってるってヤバい。村田さんへのアプローチの仕方も知りたいし、ごめんねも兼ねて沢ちゃんに連絡した。


 沢ちゃんは初め何のことか分かんなかったみたいで、色々と説明したら伝わったんだけど拍子抜けするくらいに気にしてなかった。俺が中谷から村田さんに気持ちが移ったのもすぐ分かってたみたいだし、中谷とは仲がいいだけで何にも無いんだって。


「気にしてたんだ?」

「いや、気にしてたっていうか、もしかしたら俺めっちゃヤバいことしてたんじゃないかって焦った」

「俺が知らないだけでヤバいことはしてるだろうけど、面白いしいいんじゃない?」

「面白くないでしょ。っていうか高杉が俺のハーレム帝国の話を女子にバラしまくってんの知ってた?」

「あ~ うん」

「知ってたの? 教えてよぉ。それに何で止めてくんないだよぉ。村田さんにも由美子さんにもバレてて恥かいたじゃんか」

「ウケる」

「ウケないから」

「気にすると思ってなかったから」

「気にするよ。絶対に女子に言っちゃダメなやつじゃん」


 沢ちゃんはずっと笑ってた。村田さんへのアプローチの仕方を聞いても自分の好きなようにやりなよとか言われたけど、それだと変なことしちゃいそうだから相談してるんだけど、ありのままでいいじゃんって全然アドバイスになんなくてさ。


「秀ちゃんより自信持って生きてるやつは少ないと思うよ」

「俺の自信の持ち方って偏ってない?」

「それはあるね。でも面白いよ。こんなこと平気でするやつが、こんなことで落ち込んでたりするんだとか思うとウケるし。俺、ハーレム作るって言い出すようなやつで応援したくなるのは生涯で秀ちゃんだけだと思うわ」

「ハーレムネタとイェッタイガーネタは今後、禁止だから」

「そうなん? まずは8憶イェッタイガーポイントの女の子と付き合うとこ見せてよ」

「8憶は里山さんだから。あの時は、村田さんもそんなもんだったけど、今は村田さん覚醒して、54兆3,000憶あるから」

「だからインフレが過ぎるって。ラーメンマンは20しか戦闘力ないんでしょ? かわいそうだよ」

「それはしょうがない。下級戦士とベジータを一緒にしてもらっちゃ困る」


 沢ちゃんはこのやり取りをよほど気に入ったのか、この後しばらく、村田さんのことをベジータと呼ぶのが俺と沢ちゃんの間だけで大流行した。

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