9.キレイは努力で維持

 夜、10時45分。バスタイムを満喫し、

 寝る前のストレッチ兼美肌を維持するための保湿タイムの時だ。


 こんなトークがきたのは。


「桜木っていつもあんな感じなんすか?」


 きっと恋愛系の話であろう。

 勘違いさせることにおいて香は本当にうまい。


 

 香らしいとおもって、たぶんそうだと返したら今度は仕事に集中したいと。

 

 朝峰君はわかっていない。私が50点以上をつけたのは君1人だということに。


「ウフフ。65点だって言ったじゃない。逃がさないわ」


 保湿のリップクリームを塗りながらLINEの返事を眺める。


 もう君をロックオンしているの。


 きっと君は気づいていない。

 

 社会人になって学生時代を振り返れば、恋愛面は本当に悲惨だった。


 大学は違えど香の相談相手。

 香は可愛い系だから皆、

 自分を立ててくれると思うのだろう。


 可愛いって誉めそやし、俺自慢を始める。


 ある人は昔、ワルだったと武勇伝を語りだし。ある人は筋肉自慢をしていた。


(天然だからそんなことでは振り向きもしないんだよね。香って)


 きれい系か可愛い系かといわれたらキレイ系に分類されてしまう。


 私は高嶺の花扱い。

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