第10話 向日葵


通学路にある小さな空き地に、毎年夏になると向日葵が何本か咲く。

どの向日葵も、花は大体太陽の方を向いている。

だが、ある年に一度、花がだらりと下を向いたものが一本あった。異様に元気無く見えるそれに、何となく違和感を感じる。

それでもまあ、花もいろいろあるとそれきり忘れて数年後の夏。

何気なく件の空き地に目をやると、あの向日葵は萎れてくたくたになっていた。周りの向日葵は全て元気に咲いているにも関わらず、だ。

流石に変だが、だからと言ってどうしようもない。

そのまま夏が終わって、秋。

何のきっかけか、空き地から白骨死体が出てきて大事件になった。

見つかった場所は、あの向日葵の真下だったそうだ。


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